種類・高度・距離・発射場所を変える北のミサイル挑発、残すはICBMのみ

火星12型を実戦配備
北朝鮮「レッドライン」に足を掛ける

 北朝鮮は1月だけでさまざまなミサイルを7回発射したが、これは1カ月の数としては金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が権力を握ってから最も多いだけでなく、それ以前にも前例を見いだすのが難しい数だ。ミサイルの種類・高度・飛行距離・発射場所を常に変えながらいつでもどこからでも迎撃網を避け、韓半島全域と在韓米軍の後方基地を攻撃できる能力を誇示した。先月30日には「レッドライン」直前の段階とされる中距離弾道ミサイル「火星12型」を4年ぶりに発射し、ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射も時間の問題という見方も出ている。

 北朝鮮の複数の国営メディアは火星12型の発射について「検収射撃試験」と伝えた。「検収射撃」とは大量生産後に実戦配備されたミサイルを無作為で選び、その品質を検証するという意味だ。北朝鮮は2017年に沖縄など在日米軍基地はもちろん、グアムをも射程圏内とする火星12型の戦力化を宣言して以来初めて実戦配備を公式に確認したことになる。火星12型の最大射程距離は4500-5000キロに達するとみられる。

 先月30日に発射された火星12型は最大高度2000キロ、飛行距離800キロを記録した。2017年5月に発射されたものとほぼ同じ高度(2115キロ)と飛行距離(787キロ)だ。実戦能力を検証すると同時に、今後ICBMも発射可能と誇示する武力示威の性格が強いとみられる。

 北朝鮮は先月、極超音速ミサイルおよび「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれるKN23をそれぞれ2回、長距離巡航ミサイル、KN24(北朝鮮版エイタクムス)、火星12型などはそれぞれ1回ずつ発射した。

 そのうち極超音速ミサイルの発射はいわゆる国防5カ年計画の戦略武器最優先の課業を完遂する目的だったようだ。北朝鮮は昨年1月、極超音速ミサイル(滑空体)、固体燃料のICBM、多弾頭個別誘導技術(多弾頭ICBM)、原子力潜水艦およびSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、軍事偵察衛星(長距離ロケット)および無人偵察機を5大革新戦略兵器として提示した。

 朝鮮中央通信は1日の月間決算記事で「党に対して無限に忠直な国防科学者、技術者らが5カ年計画の戦略武器部門最優先5大課業のうち最も重要な革新課業を完遂した」と報じ、極超音速ミサイルの開発完了を改めて伝えた。北朝鮮は相次ぐ極超音速ミサイルの試験発射により、中国やロシアと同じレベルのジグザグ型極超音速ミサイル飛行は難しいものの、迎撃が困難な旋回飛行には成功したと分析されている。

 変則軌道が可能なKN23は2回の発射を通じ、列車で北朝鮮全域のどこからでも発射が可能で、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の最低迎撃高度(40キロ)のわずか半分の20キロまで飛行高度を下げられることを示した。昨年9月に続き2回の試験発射が行われた長距離巡航ミサイルは最大射程距離が1800キロに伸び、韓国はもちろん在日米軍基地全体を低い高度を飛行して攻撃できることを示した。

 専門家は北朝鮮が先月発射したKN23とKN24、長距離巡航ミサイル、極超音速ミサイルなどを「交ぜて発射」すれば米国のパトリオットミサイル「PAC3」やTHAAD、韓国の迎撃ミサイル「天弓2」からなる韓米ミサイル防衛網は無力化するしかないと指摘した。

 北朝鮮による追加の挑発が予想される中、米国との対立が最高潮となった2017年のように、北朝鮮が火星12型を皮切りにICBMの火星14型と15型を相次いで発射し緊張のレベルを高めるとの予測も多い。今月16日は北朝鮮の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の80回目の誕生日、今年4月15日は故・金日成(キム・イルソン)主席の110回目の誕生日となることから、北朝鮮が強い武力挑発を行う可能性が高いとみられる。

 来月の挑発シナリオとしては固体燃料および多弾頭ICBMの発射、新型潜水艦の進水、SLBM発射、ICBMに転用可能な長距離ロケットによる人工衛星(偵察衛星)発射などが有力視されている。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「北朝鮮は核実験やICBMのモラトリアムを交渉カードとして米国に制裁解除を要求するかもしれない」「金日成の110回目の誕生日に長距離ロケットの衛星発射で(レッドラインを超える)厳しい挑発を敢行する可能性が考えられる」とコメントした。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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