【コラム】「1700万ウォン横領」尹美香議員が犯した最大の罪

 判決よりさらに奇妙なのは尹氏の行動だ。李在明(イ・ジェミョン)代表ら民主党関係者の「謝罪リレー」に力を得たのか、1700万ウォンの横領は罪でもないかのように公の活動を再開した。今月4日にはろうそく集会の壇上で「戦闘機の爆撃やミサイルが降り注ぐ韓半島にならないよう全身で走り抜く」と叫び、国際女性デーだった今月8日には日本大使館前の水曜集会に現れ、「この3年間、とてもつらくて大変だった」と目頭を赤くした。挺対協草創期の活動家である女性学者は「政界に入れば皆あんな怪物になるのか。市民団体の力は1ウォンも無駄に使わない道徳性が源だが、一緒に働いてきた活動家の顔に泥を塗った張本人であり、少なくとも先に謝罪の言葉を口にすべきではないか」と嘆いた。

 カネと権力が運動の大義を誤るのではないかと懸念したのは、挺対協の初代代表だったユン・ジョンオク梨花女子大学名誉教授だ。ユン教授は「1992年に始まった水曜集会の初期まで募金活動はなかった。寄付はありがたいことだが、団体が前面に出て募金を行うのは慰安婦問題の実状を知らせ、被害者女性を助けるという精神とはそぐわない」と指摘した。しかし、募金規模はますます大きくなり、億ウォン単位の政府支援金まで受け取り、挺対協は初心を失い始めた。

 それを真っ先に感じ取ったのは被害者女性だった。被害者女性が怒った時期が政対協のリーダーたちが政界に進出した時期と一致するのは偶然ではない。池銀姫(チ・ウンヒ)、李美卿(イ・ミギョン)の両氏が盧武鉉政権入りした際、そして尹氏が文在寅政権の与党議員になった際、被害者女性らは「結局あなたたちの出世のために私たちを利用したのか」と憤った。

 裁判所は1700万ウォンの横領だけを罪だと言ったが、尹美香議員が犯した本当の罪は別にある。半世紀にわたる韓国女性運動に対する信頼を失墜させたこと、慰安婦被害者に対する国民の支持と関心を低下させたことだ。

 15日にも水曜集会はいつも通りに開かれた。大統領の訪日を翌日に控えていたため、取材陣が殺到したが、参加者は30人にも満たなかった。その裏では水曜集会に反対する人々が歌いながら踊り、「反日行動」という団体は「売国奴尹錫悦(ユン・ソンニョル)は退け」と主張した。韓服を着て景福宮に向かう外国人は、この奇妙な風景をカメラに収めて不思議がった。昼食を取りに出てきた近隣の会社員は「恥ずかしい」と舌打ちした。同日の集会で慰安婦被害者女性の姿は一人も見えなかった。

キム・ユンドク週末ニュース部長

【写真】一審判決公判に出廷する尹美香議員

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  • ▲尹美香(ユン・ミヒャン)議員/NEWSIS

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