原子力と原子爆弾も区別できないのか…映画監督は事実をきちんと示すべき

米国映画界の巨匠、オリバー・ストーン監督
新作ドキュメンタリー映画『NUCLEAR NOW』
ソウル・ラークスパー国際映画祭の開幕作品に選定

原子力と原子爆弾も区別できないのか…映画監督は事実をきちんと示すべき

 感嘆符の代わりに「今(NOW)」をタイトルに追加した映画。アカデミー監督賞を2度も取った映画界の巨匠、オリバー・ストーン監督(76)の新作『NUCLEAR NOW』が、第3回ソウル・ラークスパー(Larkspur)国際映画祭の開幕作品に選ばれ、1日にソウルのヨルリン・ソンヒョン広場で韓国の観客に披露された。

【写真】ソウル市中区のホテルで会ったオリバー・ストーン監督(5月19日撮影)

 同作は5月18日に朝鮮日報主催のアジアン・リーダーシップ・カンファレンスで初公開されて大きな反響を生み、同日、ソウル大学原子核工学科の学生およそ100人などを招待して行った特別試写会でも拍手喝采を集めた。

 オリバー・ストーン監督は、ベトナム戦争の惨状(『プラトーン』『7月4日に生まれて』)、資本主義の中に隠された人間の貪欲(『ウォール街』)などを題材にした映画を通して、社会を鋭く批判する作業を地道に続けてきた。ドキュメンタリー映画『NUCLEAR NOW』では、原子力発電こそエネルギー使用に伴う炭素排出を実質的に減らせる唯一の技術であり、これまでは原発に対する恐怖が過度に誇張されていた、と指摘する。

 映画祭の開幕前に会ったオリバー・ストーン監督は「今回の映画を作るのに2年6カ月かかった」とし「大変な期間だったが、どうしても必要な作業だった」と語った。「人々に『原子力とは何か』と尋ねたら、テレビやニュースで見た断片的なイメージを語るばかりで、実際にこれをきちんと知っている人はいない。真の原子力とは何なのか、学生でも簡単に理解できるように作りたかった」

 オリバー・ストーン監督は「原子力とは何か」について答えるため、放射性元素を初めて発見したマリー・キュリーから日本の福島第一原発事故など最近の事例に至るまで掘り下げた。とりわけ、彼に多くのインスピレーションを与えたのが、アメリカン大学のジョシュア・ゴールドスティン名誉教授の著書『A Bright Future: How Some Countries Have Solved Climate Change and the Rest Can Follow』だ。

「今までハリウッドをはじめとする映画界は、原子力(Nuclear)と原子爆弾(Nuclear Bomb)を混同して否定的な描写ばかりをしたり、韓国映画『パンドラ』のように商業的にばかり利用してきた。少なくとも、こうした主張をしようと思ったら、まず原子力についてきちんと理解して、その後に自分の意見を言うべきだ。自分の考え、または既に持っている否定的な視線ではなく、十分な勉強を通して実際の事実を見せてやらなくてはならない」

 「今回の映画を観客はどう見ればよいか」という質問には「韓国ではひときわ、この質問をよく受ける」としつつ「他の人が示す通りにではなく、ただ映画が与えるがままに感じればいい」と答えた。

 ソウル・ラークスパー国際映画祭は自由・正義・人権をテーマにする映画祭で、「自由と正義」が花言葉のラークスパー(チドリソウ)にちなんで名づけられた。6月6日まで、ソウル市鍾路区の映画館「CGVピカデリー」とヨルリン・ソンヒョン公演特設ステージで開催される。『NUCLEAR NOW』のほかにも、福島汚染水問題にあらためて光を当てた『ATOMIC HOPE』、6・25戦争に参戦したトルコ勇士の実話を取り上げた『Ayla:The Daughter of War』などが上映される予定だ。

ナム・ジョンミ記者

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