【独自】韓国軍による北の「発射体」引き揚げ、網のロープ切れる…今日再び挑戦

 北朝鮮の「宇宙発射体」が西海(黄海)に落ちた先月31日、韓国軍は残骸(ざんがい)の一部を発見したが、五日間経過しても引き揚げられずにいる。残骸は水深75メートルの海底に埋もれているが、潮の流れが激しく、海中の視界も良くないためだ。今月2日と3日には残骸の胴部分に高張力ロープを縛りつけたが、引き揚げる過程でロープが切れ、一部の潜水士が危険に直面するという非常事態に見舞われたという。韓国軍は、発射体を引き揚げたら米軍側と共同調査団を構成し、分析することで合意した。

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 韓国軍合同参謀本部によると、韓国軍は4日、全羅北道群山市の於青島西方約200キロメートル付近の海域に海難救助戦隊(SSU)の深海潜水士を多数投入し、引き揚げを試みたとのことだ。韓国軍は加減圧チャンバーや人員移送カプセル(PTC)など飽和潜水装備を搭載した韓国海軍潜水艦救難艦「清海鎮(ASR-21)」を通じ、潜水士を海底に送り込んだ。発射体の残骸は長さ15メートル、直径2-3メートルだという。韓国軍は高張力ロープを幾重にも結び、流速が緩むタイミングを見計らって引き揚げを試みた。しかし、潮流が穏やかになる時間が短く、作業がほとんどできなかった。流速はダイバーの体が押し流される2ノット(時速3.7キロメートル)に達した。韓国軍合同参謀本部関係者は「水中の状況を考慮した上で5日に作戦を再開する方針だ」と話している。

 韓国軍は4日、3500トン級の救難艦「統営(ATS-31)」と「光陽(ATS-32)」、貨客船「セウォル号」や韓国海軍哨戒艦「天安」の捜索などにも使われた「清海鎮(ASR-21)」だけでなく、航空機も投入した。航空機はほかの残骸を捜索する作戦を展開した。韓国軍合同参謀本部によると、捜索区域は引き揚げ作戦海域を中心に半径100キロメートルに達したとのことだが、軍は今のところ、ほかの残骸を発見できていない。

 北朝鮮の宇宙発射体「千里馬1型」は計3段からなり、全長は29-30メートル程度と推定される。韓国軍が現在、引き揚げようとしている残骸は、第2段と第3段の推進体が付いている可能性があるという。この場合、発射体上段に搭載された軍事偵察衛星「万里鏡1号」がある可能性もある。引き揚げに成功すれば、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)および人工衛星分野の最新技術を一挙に把握できるということだ。今回の発射体は2012年に発射された「銀河3号」、2016年の「光明星号」とは形態などさまざまな面で異なる新型だと分析されている。チャン・ヨングン韓国国家戦略研究院ミサイルセンター長は「普通、第1段が長くて第2段が短いが、今回の北朝鮮の新型発射体はその反対だった」「韓国軍が残骸の引き揚げに成功すれば、北朝鮮の技術者たちが第1段ロケットの長さをなぜ短くしたのかも分かるだろう」と語った。

ノ・ソクチョ記者

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  • ▲韓国軍合同参謀本部では先月31日、「韓国軍は午前8時5分ごろ、西海(黄海)の於青島西方約200キロメートルの海上で北朝鮮が主張する『宇宙発射体』の一部と推定される物体を識別し、引き揚げているところだ」と発表した。写真=韓国軍合同参謀本部

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