研究陣は、これらのウイルスがヒトに感染する可能性があるかどうかを確認するため実験を行った。コロナウイルスがほかの動物の細胞に侵入する際に使うスパイクタンパク質を作って、ヒトの細胞に結合するのかを確認した。
そうした実験の結果、サルベコウイルスのスパイクタンパク質は、ヒトの細胞の表面に存在するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)タンパク質に結合可能なことが分かった。これはヒトに感染する可能性があるという意味だ。ただし、研究陣は「結合の効率は低く、直ちに感染症を引き起こす確率はほとんどない」と分析している。
サボライネン教授は「ACE2タンパク質が非常に多い状況でのみ結合するため、新たに発見されたウイルスがヒトに直ちに感染して病気を引き起こす可能性は高くない」「COVID-19のようにほかの動物を中間宿主とするならば、感染症流行が懸念される状況だ」と述べた。
研究陣は「未知の感染症を予防するには、自然生態系の保存が重要だ」と主張する。野生動物の生息地を保存し、ウイルスを定期的に検査して、ヒトとの接触を最小限にとどめる必要があるということだ。
英国のコウモリ保存慈善団体「Bat Conservation Trust(バット・コンサーベイション・トラスト)」のリサ・ウォーリッジ保存責任者は「野生動物保護は感染症予防だけでなく生態系の多様性を維持する上でも重要な役割を果たす」「今回の研究結果は自然保護活動家と科学者の協力が公衆保健に対してどんな寄与ができるかを示す良い例だ」と語った。
研究結果は28日、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で紹介された。
イ・ビョンチョル記者