韓国最大野党「IAEA報告書は設備の性能評価含まず」

【ソウル聯合ニュース】国際原子力機関(IAEA)が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水海洋放出計画について、「国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を公表したことに関連し、韓国の最大野党「共に民主党」は24日、同報告書の評価対象に多核種除去設備(ALPS)が含まれていないことを明らかにした。

 同党はこの日、国会で記者会見を開き、同党がIAEAに送った質問の回答を公開した。

 ALPSの性能や運用に対する国際的な検証の必要性を問う質問に対し、IAEAは「ALPSの処理工程の性能は関連する国際安全基準の順守に対する評価と関係のない要素だった」と回答した。

 また「放出計画に従って東電が該当保管タンクのALPS処理水を希釈し放出する前に、全ての分量の処理水に対して分析を行う」とし、「この分析作業は日本原子力規制委員会が独自に検証する」と説明した。

 また、IAEAは放射性物質の扱いを巡る行為の正当化について、利益が被害を上回る必要があるとの指針を掲げているが、海洋放出がこれに違反するとの指摘について、「(この判断は)相当部分が経済的・社会的要因のように、本質的に技術的ではない別の考慮事項が含まれている」とし、「IAEAはこの決定の非技術的側面について言及し分析する必要はない」と回答した。

 これと関連し、IAEAのグロッシ事務局長は9日の同党との会合で、汚染水の長期保管などの代替案が検討されなかった理由について、「IAEAの検討は日本が選択したALPSによる処理方法が国際安全基準に符合するかどうかを評価することに焦点を合わせている」とし、「他の潜在的方法の妥当性は評価しない」と述べた。

 グロッシ氏はまた、「日本政府が海洋放出に関する国際安全基準が適用されるか検討してほしいと要請してきたのは日本政府が海洋放出を決めた後だった」と説明した。

 共に民主党はこれについて、「IAEAは海洋放出以外の代案は検討もしていない」として「IAEAの検証過程の限界が明確に明らかになった」と指摘した。

 また、今回の安全性の検証のために、日本政府からどの程度の財政支援を受けたかについて、IAEAは「多くの加盟国は定期的な予算分担金以外にも世界の原子力の安全をさらに支援·強化するためにIAEAに追加予算資金を提供している」と回答した。

 これについて同党は「汚染水放出に関するIAEA報告書作成における、日本の財政支援を事実上認めたもの」と主張した。

 同党は東電が提出したデータの信頼度や海洋放出以外の代案などに関する質問への回答を要求したうえで、「IAEAは科学的本質を回避してはならない」とし、専門家による技術や科学に基づいた討論の開催を提案した。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい