米大統領に会うたびにブルーリボンバッジを着ける日本の首相…その粘り強い意思に学べ(下)【寄稿】

 拉致問題の争点は、双方の数字のズレだ。日本が確認した公式な拉致被害者の数は12件で17人だが、民間の団体は「700人以上の失踪事件が北朝鮮と関連がある」と疑ってきた。逆に北朝鮮は、13人を拉致した事実は認め、5人を日本へ戻したが、8人は「死亡した」と発表し、他の4人に関しては北朝鮮に「入国したことはない」と主張した。

 日本は今年に入って再び、拉致問題の解決のため北朝鮮のドアをたたいている。今年5月、岸田文雄首相が「金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会って日本人拉致問題を解決したい」と言うと、北朝鮮のパク・サンギル外務次官はわずか2日後、異例の速さで「会えない理由はない」と前向きな反応を示した。松野博一官房長官は、北朝鮮外務省の発表翌日、日朝首脳会談の必要性を再度強調した。

 北朝鮮が公式に日本を相手として対話に言及したのは、16年の北朝鮮による拉致問題再調査中止宣言以来、今回が初めてだ。日本の各メディアは、日朝首脳会談実現のための交渉再開のシグナルと解釈した。6月以降、日本の国家安全保障局と北朝鮮の外務省関係者が中国やシンガポールなどで2度にわたり非公開の接触を持ったと、日本メディアが確認した。実務会合において、主な事案を巡る見解の差は相変わらずだったが、今後「ビッグディール(大きな取引)」による高官級交渉の可能性は開かれている。伝統的に両機関はホットラインを維持し、過去にも第三国で会合を持った。北村滋・内閣情報官(当時)は2018年7月と11月の2度にわたり、ベトナムなどで北朝鮮の統一戦線部の金聖恵(キム・ソンヘ)室長とひそかに会っていた。日朝間ではさまざまなホットラインが稼働しており、朝鮮総連などが中継役を果たすこともある。

 北朝鮮が日本とホットラインを稼働させるのは、韓米日3カ国協力の環を弱めて国際的孤立を脱しようという狙いがあるからだ。国連の制裁で封じ込められた平壌にとって、日本は新たな突破口だ。自民党は、最も熱い国内政治イシューである拉致問題に全力を傾けるほかない。韓国が拉致問題に関連して日本政府や国会の政策からベンチマークすべき部分は、自国民を送還させようとする粘り強い意思と努力だ。6・25戦争以降、北朝鮮に強制連行され、抑留された国民に対する韓国の歴代政権の送還努力は、日本に比べ大幅に劣っていた。米日の首脳会談が開催されるたび、岸田首相など日本の首脳はスーツのジャケットに「青いリボン(日本人拉致問題の象徴)」を着け、拉致問題の解決に対する米国の支援を欠かさず要請し、米国大統領を拉致被害者家族と会わせている。米国連邦議会上院で決議を引き出し、国連安保理で拉致問題を議題化している。今からでも、韓国政府は国際社会と協力し、北朝鮮に強制抑留されたといわれる国民を救出すべきだ。統一部(省に相当)によれば、6・25戦争以降、北に拉致された人のうち、抑留されている人は516人に達する。自国民保護が強力な外交目標にならない国は、決して先進国にはなり得ない。

南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学統一外交学部教授・元国家安保戦略研究院長

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