東京電力が「原発処理水」海洋放出開始…韓国は18カ所で放射能独自調査、IAEAは監視のため日本常駐

東京電力が「原発処理水」海洋放出開始…韓国は18カ所で放射能独自調査、IAEAは監視のため日本常駐

 東京電力が24日午後1時から海に放出を始めた「原発処理水」(以下、処理水および汚染水の表記は原文ママ)は、2011年に起きた福島第1原子力発電所事故以後、貯まり続けている放射能汚染水を「多核種除去設備(ALPS)」という装置で浄化したものだ。ALPSは吸着フィルターで放射性物質をろ過する装置で、基本原理は浄水器と同じだ。違いがあるとすれば、浄水器はろ過した水をそのまま放出するが、ALPSはフィルターを通った汚染水の放射性物質69種の濃度を測定し、濃度が基準値未満に低下するまで汚染水を放出しない点だ。一つの物質でも濃度が基準値を満たさなければ、汚染水を装置の最初に戻し、再びろ過する。基準を満たすまでこの過程を繰り返す。ただ、放射性物質のうちトリチウムはALPSではろ過できない。このため、アルプスを通った汚染水に100倍の体積のきれいな水を投入して汚染水を希釈する。そうすることでトリチウム濃度まで基準値未満に下げた「処理水」を海に放出する仕組みだ。

 日本の計画通りにALPSが正常に稼働すれば、海に放出された処理水は放射性物質の濃度で通常の海水と変わらない。東電は放出を始めるに当たり、測定の結果、処理水のトリチウム濃度は1リットル当たり43~63ベクレルだったとし、「日本の基準値である6万ベクレルを大きく下回る」と説明した。国際原子力機関(IAEA)と韓国原子力安全技術院は先月、日本の汚染水処理計画をそれぞれ検証し、日本が汚染水を「計画通り」処理して放流すれば、安全性に問題はないという結論を下している。

 問題は12年間に貯まった汚染水の量が134万トンに達し、汚染水を全て処理して放出するのに少なくとも30年以上が必要になる点だ。期間中はALPSが本来の性能を維持して正常に作動しなければならず、ALPSが突然故障すれば、放流は直ちに中断しなければならない。それと関連し、日本はALPSで浄化されている汚染水の量、ALPSの設備内で測定した放射線量、汚染水を希釈するために投入される海水の量などを毎時間測定し、ウェブサイトで公開する計画だ。この測定値は韓国語でも公開される。

 また、日本は汚染水の処理と放流を正常に行っているかどうかIAEAの監視を受ける。IAEAはこのほど、汚染水処理現場に事務所を設置した。関係者が常駐し、監視することになる。ラファエル・グロッシIAEA事務総長は「20年後、30年後にも計画通りに行われるか確認を続ける」とし、「最後の一滴が安全に放出されるまでIAEAは福島に留まる」と説明した。

 韓国政府は日本側がウェブサイトを通じて毎時公開するデータのほか、日本が随時汚染水を測定して得る他のデータの提供も受ける。また、放出された処理水を測定した値に異常が見つかった場合にも日本側から通報を受け、日本側は直ちに放流を中断することになっている。韓国政府はIAEAの現場事務所を定期的に訪問する権利も得た。韓国側の専門家は2週間に1回ずつ現場事務所を訪れ、日本とIAEAの活動をモニタリングする。疑問点がある場合はIAEAに質問して回答を受ける。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は同日、「韓国とIAEA双方に情報共有担当官が指定され、24日中に意思疎通を開始し、今後毎日最新情報の提供を受け、定期的にテレビ会議を開く」と説明した。

 韓国政府はそれとは別に、日本近海の公海上8カ所、太平洋各国近海の10カ所の計18カ所で独自に放射能調査を行う。ALPSに異常が生じ、汚染水がそのまま放出されるか、放出と関連して日本側に何らかの隠ぺいがあれば、この調査で異常が明らかになる。放流された処理水は黒潮に乗り、太平洋経由で約4~5年後に韓国近海に到達する。公海上での調査は6月に既に開始しており、年7回実施する計画だ。太平洋での調査は関係国と協議が完了次第、来年から始める計画だ。

キム・ギョンピル記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 東京電力が「原発処理水」海洋放出開始…韓国は18カ所で放射能独自調査、IAEAは監視のため日本常駐
  • 東京電力が「原発処理水」海洋放出開始…韓国は18カ所で放射能独自調査、IAEAは監視のため日本常駐

right

あわせて読みたい