官民挙げて日本を叩く中国、自国経済への影響は織り込み済み

 中国が原子力発電所の汚染水を放出した日本に対し、官民を挙げて経済的圧力を加えている。こうした中、最近景気減速傾向がが強まっている中国経済も逆風に見舞われるかどうかに注目が集まっている。水産物、旅行などを中心に消費心理が萎縮しかねないという懸念があるが、中国経済に占める日本の割合が大きくない上、代替体制も十分で影響は少ないとの分析が示されている。中国もそうした計算の下、日本を攻撃しているとみられる。一方、日本は中国による制裁が拡大した場合、経済全般が大きく揺らぎかねないため緊張が高まっている。

【写真】天津市内のすし店で、窓に貼られた「日本の職人の技」という言葉を隠す店員

 30日の中国現地メディアによると、24日に日本が福島原発で汚染水を放出した後、中国の経済制裁は拡大の兆しを見せている。中国の公式な経済制裁はこれまでに日本産水産物の輸入を全面禁止したのが唯一だ。しかし、中国人はインターネット上で日本ブランドのリストを共有して不買運動に乗り出し、最近許可された日本への団体旅行も相次いでキャンセルしている。民間レベルの経済制裁が強まっている格好だ。現地消息筋は「中国当局が日本の汚染水放出に対する世論に非常に敏感に反応している」とし、当局レベルによる経済制裁拡大の可能性も念頭に入れるべきだと指摘した。

 こうした経済制裁が中国経済に逆効果をもたらすのではないかと懸念されている。水産物の場合、日本産だけでなく水産物全体に対する消費が萎縮しかねない。香港紙サウスチャイナモーニングポストは「中国による日本産水産物輸入禁止が中国の水産業に打撃を与えかねない」とし、「多くの中国の消費者が水産物を食べなくなる。それは業界にとって危険なシグナルだという指摘が出ている」と伝えた。日本への団体旅行キャンセルも旅行、航空など自国観光業への打撃が避けられないとの見方がある。

 しかし、現地では消費心理がやや低下しても経済全般への逆風の可能性は小さいとの見方が支配的だ。中国経済界関係者は「日本産を避けようとして、商品購入に制約が生じ、消費を先送りする傾向が生じることはありうる」としながらも「水産物の場合、日本産の供給が減れば需要も同時に減少するほか、当局が介入して輸入先を多角化するとしており、物価などへの影響は小さいだろう」と話した。中国は昨年、日本産水産物を15万6000トン輸入したが、これは水産物輸入全体の約4%だ。

 別の関係者は「観光、外食などサービス業は影響を受けるだろうが、日本に代わる商品が十分あり、(コロナ後の)経済活動再開以降、急速に回復傾向を示している分野であり、打撃は小さいだろう」とし、「現在中国経済にさまざまな下振れ要因が山積しているだけに、少しの経済的打撃にも非常に慎重な状況であり、(問題はないという)分析の下で実施した措置とみられる」と説明した。

 ただ、日本資本の中国流入が滞る可能性は考慮しておく必要がある。中国経済界関係者は「実体投資の場合、日本企業も韓国と同様に中国に対するエクスポージャーを減らしており、大きな影響はないだろう」としながらも、「日本からの資本投資は、中国国内で反日感情が高まれば萎縮しかねない」と指摘した。別の関係者は「中国は日本からの投資を誘致しようと努力している状況だ。その部分で中国当局は悩ましいはずだ」と話した。

北京=イ・ユンジョン特派員

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  • ▲中国・北京市内のスーパーの水産物売り場/イ・ユンジョン記者

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