北が中ロと初の合同演習推進か ロシアの軍事技術提供で挑発高度化も

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮と中国、ロシアの史上初となる合同軍事演習が行われる可能性が高まり、これに伴って北東アジアにおける中朝ロの関係強化や、北朝鮮が挑発に用いる軍事技術の高度化などが懸念される。

 ロシアメディアは5日、ショイグ国防相が北朝鮮との合同演習について「当然議論されている」と述べたと報じた。
 韓国情報機関の国家情報院は4日、ショイグ氏が7月に北朝鮮を訪問した際に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)と会談し、中朝ロ合同演習を提案したと明らかにした。米国では正恩氏が今月中にロシアを訪問するという見方が出ており、合同演習をはじめとする中朝ロの軍事協力が実質的に推進される見通しだ。

 ただ、北朝鮮ではこれに関する言及はなく、中朝ロ合同演習はこれまで行われた例がないため、史上初の3カ国演習が実現するかどうかは今後の推移を見守る必要がある。

 韓国政府系シンクタンク、統一研究院の鄭盛允(チョン・ソンユン)研究委員は、これまで中朝ロ合同演習が行われなかった理由について「安全保障分野で自主的な性質が強い北は中国・ロシアという大国と協力関係を構築する必要性を感じず、これまで中ロも軍事協力に積極的ではなかった」としながら「北が自らの核能力に過度な自信があったという理由もある」と分析した。

 このような中朝ロの結託の動きは、北朝鮮の挑発レベルの上昇、米国と中国のグローバル戦略競争、ロシアのウクライナ侵攻などにより韓米日の軍事・安保協力が強化されたことへの反発と受け止められる。

 在日米軍の存在によって中ロの太平洋進出が妨げられている中、前哨基地に当たる朝鮮半島東の東海を重視する中ロに北朝鮮が積極的に応じているものとみられる。金正恩氏が先ごろ地上戦力に比べ存在感の乏しい海軍基地をあえて訪れ、海上武力強化を主張したことも、中朝ロが東海上での合同演習を準備する布石ではないかとの解釈が出ている。 

 地上軍訓練より移動や合流が比較的容易で、これまでも中ロが航空機で韓国・日本の防空識別圏にたびたび無断侵入してきた東海で海軍合同演習が行われる可能性が高いといえる。
 このような演習は、状況によっては中朝ロレベルから中ロが主導する上海協力機構(SCO)レベルの多国間演習へと拡大する恐れもある。 

 北朝鮮としては、韓米日3カ国に単独で向き合うよりも中ロを引き入れて身動きを取りやすくすると同時に、ロシアの先端軍事技術を確保して挑発のレベルを高めようとするものと予想される。

 韓米当局は、ショイグ氏が訪朝した際の議題には、合同演習以外に北朝鮮のロシアへの兵器提供も含まれていたと分析している。ウクライナ戦争で西側諸国と対立し、戦線が膠着(こうちゃく)状態にある中、兵器の在庫が不足したロシアが北朝鮮から砲弾や対戦車ミサイルなどを持ち込もうとしているとみられる。

 米政府関係者は、北朝鮮が兵器提供の見返りに先端技術を要請する可能性があると伝えた。偵察衛星やレーダーなどの情報・監視・偵察(ISR)資産に関する技術は、北朝鮮が特に魅力を感じている分野だ。ミサイルなどの攻撃用兵器分野では、ロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版とされる短距離弾道ミサイル「KN23」などから分かるように、既に何らかの方法でロシアの技術を導入していると推定される。

 北朝鮮が比較的脆弱(ぜいじゃく)な防空網や対韓国偵察などを強化するためには高度な技術の確保が必須であり、ロシアはこのような分野で先進国であるだけに、合同演習と兵器提供によってロシアの技術への依存度を高めようとしていると分析される。 

 また、北朝鮮はこの他にも原子力潜水艦、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、核弾頭の小型化などの分野でロシアの技術を虎視眈々(たんたん)と狙っているとみられる。  

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