一帯一路10年:国境を接する14カ国とは悪化の一途をたどる中国

インフラ建設が遅れ、工事の手抜きも続出
地下経済に資金が流れ、犯罪が増加

 「一帯一路(陸と海のシルクロード)」を通して周辺地域への影響力拡大を狙っている中国だが、肝心の隣接諸国とは対立を引き起こし、事業に狂いが生じている。英国紙「エコノミスト」は最近、「隣国と一層緊密に結び付こうとする習近平国家主席の努力は計画通りに進んでいない」とし「中国の欠陥ある外交が、この課題をますます難しいものにしている」と報じた。

 中国の陸の国境は総延長2万2800キロに達し、国境を接する国の数だけでも14に上る。フィリピン・マレーシア・ブルネイなどは南シナ海を挟んで中国と向き合っている。これらの国々は10年前、一帯一路事業の初期の攻略地だったが、多くの地域で一帯一路はきしみを上げ、一部の国では外交関係まで行き詰まった。

 ネパールの場合、中国が当初約束したインフラ建設事業の大部分が、きちんと終了しなかった。中国の支援で作られたポカラ国際空港では、今年初めに68人が命を落とす旅客機墜落事故が発生し、手抜き工事の可能性が浮上した。当初は中国の民営会社が担当して造ることになっていた水力発電所事業も、足踏み状態が続き、ネパール政府が「われわれが自ら作る」と立場を変えた。

 ネパール側は、中国の提示した金融支援が、開発途上国に対して先進国の一般的に提供する寄付や信用提供方式ではなく、高金利の信用融資にすぎないという点に不満を持っているという。実際、建設には必ず中国製の設備を用いなければならず、これに伴って中国の労働者が大挙国内に流入することが自国経済にとって役に立たないという判断もあった-と分析されている。

 実際、中国の高金利融資は経済基盤の弱い事業参加国の財政状況を悪化させた。AP通信は最近、一帯一路事業に関連して最も多くの対中負債を抱える12カ国を分析したところ、この中には一帯一路の核心事業地域であるパキスタンとラオスも含まれていた。これらの国は融資の利子を支払うために外貨が枯渇し、遂にはデフォルト(債務不履行)の危機に陥った。

 急激な資本と人員の投入が経済成長につながらず、地下経済に流れ込むという副作用も発生した。エコノミスト紙は「ラオス、ミャンマー、フィリピンでは、いずれもギャンブル事業に伴って中国資本や労働者が大挙流入し、犯罪が増加した」と指摘した。

 このように、中国の一帯一路事業がきちんとした成果を出せずにいることを受け、中国発の投資に対する不信も深まっている。シンガポールの国際研究機関「ISEAS-ユソフ・イサーク研究所」が最近実施したアンケート調査によると、東南アジア6カ国(ミャンマー・ラオス・ベトナム・マレーシア・ブルネイ・フィリピン)の国民の間で、中国に対する信頼が大幅に低下していることが判明した。

 しかも、こうした不信は習近平体制になってから一層深まった、という分析もある。中国は日本・インド・フィリピン・ベトナムなどと領土もしくは領海を巡って対立を引き起こしているが、習近平体制においてこうした対立は一層激化する様相を見せている。

チョ・ソンホ記者

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