朴裕河教授無罪判決に韓国学界「自分の意見を語った学者を法廷に立たせるのはナンセンス」

「判事が学問の真偽を決定してはならない…大法院が常識的判決を下した」
「歴史歪曲容認の恐れ」という指摘も

 「朴裕河(パク・ユハ)教授を名誉棄損罪で処罰することはできない」という26日の大法院(最高裁に相当)の判断について、韓国の学者らはおおむね肯定的な反応を示した。特に「通常の研究倫理に違反したり他人の権利を侵害したりするなどの事情がない限り、学問的研究のための正当な行為」だと判断したことについて、共感するという反応が多かった。

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 朴教授の著書の内容とは別に、学問領域に属する問題について法廷が判決を出すのは困るというわけだ。「今後、学問の領域で判事が真偽を決定する事件は起きないだろう」という声も聞かれた。

 柳宗鎬(ユ・ジョンホ)元延世大学碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は「それに同調するかしないかとは無関係に、学者が自己の意見を率直に発表したからといって、法的な制裁を受けるのは根本的にあってはならないこと」だとし「特に、韓国では対日関係において意志表現をすることが非常に不自由な状況だが、学問の自由を保障したという点で大法院が意味のある判断をしたと思う」とコメントした。

 「『帝国の慰安婦』訴訟支援の会」に参加していた金哲(キム・チョル)延世大学名誉教授は「そもそも学術書を書いた著者を法廷に立たせること自体がナンセンス」「当然、こういう形で出るべきだった結論」だとし「今回の事件を契機として、今後、韓国から特定の目的を持った扇動や憎悪が消えることを望む」と語った。

 許東賢(ホ・ドンヒョン)慶煕大学フマニタス・カレッジ教授は「学問的領域で保障されるべき表現と思想の自由を法の物差しで審判するのは決して正しいケースではない」とし「大法院は、至極常識的な判断を行ったと思う」と語った。

 懸念の声もなくはなかった。宋虎根(ソン・ホグン)翰林大学碩座教授は「表現の自由は当然守るべきだが、『帝国の慰安婦』には、帝国主義が犯した反人倫的罪悪を隠蔽(いんぺい)しかねない論理が入っている」とし「慰安婦の証言を分析してみると、大部分は『こういうことだろうとは全く知らずに来てだまされた』というものなのに、これを『売春』と叙述するのは帝国主義的な見方」「(大法院が)歴史歪曲(わいきょく)を容認したものと映るのではないかと心配している」と語った。さらに宋氏は「表現の自由を享有しようと思ったら真実に対する責任が伴う」と述べた。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

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  • ▲朴裕河・世宗大学教授が昨年8月31日、ソウル市中区のプレスセンターで『帝国の慰安婦』訴訟関連の現況と韓日懸案緊急提言について記者会見を行っている様子。/写真=ナム・ガンホ記者

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