155ミリ砲弾1発の価格2100ドル→8400ドル…相次ぐ戦争で4倍に

 ウクライナ戦争に続いてイスラエルとハマス間の戦争まで起きたことで、武器の値段が暴騰している。特に、戦場で最も高い需要がある155ミリ砲弾の価格は1年間で4倍に跳ね上がったことが分かった。155ミリ砲弾はスマート爆弾、スティンガー・ミサイルと共に、ウクライナとイスラエル両国で需要が最も高い兵器の一つといわれている。

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 10月29日付(現地時間)の米日刊紙「ウォールストリート・ジャーナル」によると、現在、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間ではウクライナとイスラエルの武器確保競争が激しくなる状況への懸念が強まっている。

 イスラエルはNATO加盟国ではないので、米国やドイツなどを除く他の西欧諸国は、イスラエルに直接の武器支援をしていない。ただし、防衛産業界全体で生産できる武器の量はそのままなので需要は2倍に増え、結果的に欧州諸国にとって困った状況が到来しかねない見込みが生じている。欧州の大多数の国々が、20カ月以上もロシアと戦争中のウクライナに武器を支援する一方、必要な弾薬と装備の量を完全には充足できずにいたが、イスラエルでも需要が生じたことで競争が繰り広げられる可能性が高まっているのだ。

 需要が増えたことで、武器の価格も暴騰している。NATOの軍事顧問を務めるロブ・バウアー提督によると、西側諸国が基本的に使用している武器である155ミリ砲弾の価格は、ウクライナ戦争以前の時点では1発当たり2100ドル(現在のレートで約32万円。以下同じ)だったが、1年間で8400ドル(約123万円)と4倍になった。

 実際、ウクライナとイスラエル両国で最も需要が高い武器は155ミリ砲弾とスマート爆弾、スティンガー・ミサイルなどだといわれている。10月22日にニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は「155ミリ砲弾は数十キロ以内の目標の打撃のため集中的に使用され得るので、ウクライナとイスラエル双方で需要が大幅に増えるものと予想される」とし「米国がイスラエルに支援せねばならない武器の中には、ウクライナがロシアを相手に20カ月間地上戦を続ける中で依存してきたものと同一類型の武器が含まれ得る。このため、両国同時支援が難関にぶつかりかねないという懸念が浮上している」と報じた。

 これに伴いNATOは、武器の生産量を増やさなければならないという立場だ。NATOのイェンス・ストルテンベルク事務総長は最近、スウェーデンで開かれた「NATO産業フォーラム」で「NATO加盟諸国の各防衛産業体には、今のような危機の状況に対処する十分な遊休生産能力はない」とし「われわれが必要とするときに供給を保証し得るよう、生産をさらに増やすべき」と発言した。

 ただし兵器メーカー側は、兵器の需要がいつ減るか分からないので、追加の設備投資には迷ってしまう状況だ。NATOなどの要請に従って本格的に設備投資を行っても、戦争が終わってしまうと需要は急減し、損害は莫大(ばくだい)なものになるのだ。フィンランドの兵器メーカー、パトリアのエサ・ラウタリンコ(Esa Rautalinko)代表取締役は「欧州各国の政府が企業に対し、武器契約を結ぶ前に投資の責任を負わせようとするのは間違っている」とし「われわれは長期的な需要に対する見込みがなければそのように(投資を)することはできない。この産業は小売業ではない」と語った。

パク・ソンミン記者

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