映画音楽家・久石譲、脳科学者・養老孟司と感覚について論じる

映画音楽家・久石譲、脳科学者・養老孟司と感覚について論じる

【新刊】久石譲・養老孟司、イ・ジョンミ訳『耳で考える――脳は名曲を欲する』ヒョンイク出版

 スリランカに巨大な津波が押し寄せた時、耳で先に危険を感知した象たちは群れを成して内陸へと逃れた。しかし、人間は一緒に逃げなかった。目で津波を確認して慌ててみたところで、時すでに遅しだった。「動物と違って、人の脳は目と耳に入ってくる異なる情報を一つに理解する機能を発達させました。二つの感覚を連合させ、時間を加えた結果、生じたのが言語です」。原初的感覚の鈍くなった人が持つようになった限界だ。

 『となりのトトロ』『ハウルの動く城』など、ジブリアニメの映画音楽家の久石譲と東京大学医学部教授を務めた脳科学者の養老孟司が交わした対談集。音楽家が「光は音より速いが、映画音楽は実際の画面よりも微妙に遅く入れると調和する」と言えば、脳科学者は「耳は原初的『爬虫(はちゅう)類の脳』と非常に近いが、目は最も遠い感覚器官なので処理速度が違う」と説明する。二人の対話は古今東西の芸術、科学、哲学、人文学を網羅している。言語に支配され、感覚を失っていく現代社会で、人生と芸術を感覚として捉えようとする姿勢の重要さを悟らせる。272ページ、2万ウォン(約2200円)。

イ・テフン記者

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