「4000億ウォン泥棒」には多くの脇役が登場する。いわゆる「50億クラブ」には元検察総長、特別検察官(特検)を務める現職議員のような大物が大挙して名を連ねる。大庄洞不正グループの盾になり、50億ウォンずつ謝礼を受け取る構造だった。それに含まれた大法院のK大法官は、李在明京畿道知事(当時)の公職選挙法違反事件の裁判を控えた時点で、金万培氏が大法院を出入りし、訪問先として記した人物だった。K大法官は、李大統領の無罪判決に決定的な役割を果たし、退任後大庄洞不正グループの会社の顧問となった。
主演クラスに次ぐ助演者の中心が「城南市幹部」だった。一審は市幹部が柳東珪(ユ・ドンギュ)氏を中間管理者にして業者に有利な事業構造を決めたと判断した。不正グループと市幹部の間に「長期間にわたる癒着関係」が形成され、それに伴い犯罪が行われたと指摘した。裁判所は市幹部が誰であるかを特定しなかった。しかし、誰を指すのか見当をつけることは難しくない。
そして最後に残ったパズルのピースを埋めてくれたのが検察だった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下の検察が細かく容疑を究明して起訴したため、抜け穴はなさそうだった。ところが政権が変わると、李在明政権の検察が誰も予想していなかった「控訴断念」のカードを切り、大逆転のストーリーをつくった。「7000億ウォン大儲け」という漫画のような犯罪劇を完成してくれたのだ。
もちろん見返りがないはずはない。法理まで破って強行した控訴断念が問題の業者にどんなメッセージを送ったものかは容易に推測できる。これからは大庄洞不正グループが応える番だという意味だろう。愚かでなければ行間が読めないはずがない。
一団は船を乗り換える動きを見せている。南弁護士はその間、大庄洞開発の事業権に「城南市長室の取り分がある」という立場を一貫して維持してきた。2022年、当時の李在明民主党代表が「(南弁護士が暴露するように)検察が演技指導したもの」だと言うと、南弁護士は「作品は映画ではなくドキュメンタリーだ」と反論した。ところが政権が変わると「検察が脅した」とし、「強要された供述」だと主張し始めた。事件初期に検察に自ら出席し、1300ページ余りの録音記録を提出して協力したチョン・ヨンハク会計士も、昨年12月の非常戒厳以降、供述の一部を覆した。
権力の風向きを見抜いている彼らにとって、控訴断念は今後の行動指針を知らせる信号弾のようなものだ。それが検察や法務部レベルで決定されたと信じる者はいない。主犯の金万培氏は過去に共犯とのやりとりで背後にいるという「あの方」に言及した。 手のひらを返したような控訴断念で「4000億ウォン泥棒」を完成するのを見て、「あの方」は確実に存在するという確信が固まる。
朴正薫(パク・チョンフン)論説室長