■海外に広がる「監視外交」
エコノミスト誌は「今年中国の諮問団がソロモン諸島に渡り、毛沢東時代の住民相互監視システム『楓橋』を伝えた」と報じた。1960年代に浙江省楓橋で始まったこの治安対策のポイントは「紛争や対立は上級警察や裁判所で扱わず、地域で管理・仲裁させること」にある。中国にとって警察教育の得意先となっている中央アジアや東南アジア諸国は国境の安全管理やテロ対策、詐欺や人身売買への対応で中国との協力を続けている。エコノミストによると、中国は「一帯一路」を進めるためアフリカ諸国の治安対策にも積極的に介入しているという。
香港サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)紙によると、中国公安部長は昨年9月に江蘇省連雲港市で開催された「2024グローバル公共安保協力フォーラム」のオープンセレモニーで「中国警察の実務チームを海外に派遣し、その国の法律執行能力を高め、中国と共に合同パトロールや調査を行えるよう教育を行う」と表明した。
中国による監視システム輸出の背景には、習近平国家主席が打ち出したGSI(グロバール安全保障イニシアチブ)構想がある。米ILEA(国際法執行アカデミー)は1995年以降、100カ国以上に対して犯罪対策のノウハウなどをシステムとして提供してきたが、中国はこれに対抗して国際的な安全保障や治安対策で自国の影響力を高める狙いがあるとみられる。
海外に輸出される中国の監視システムは中国国内で緻密かつ高度に設計されたとの見方もある。中国は昨年から公安組織に自動で動くロボットを大量に配備し、顔認識や追跡機能を現場で活用している。国防関連の企業は4足歩行の偵察・攻撃用オオカミロボットまで訓練に投入しているという。世界の監視カメラ市場の40%、世界のドローン市場の70%以上を掌握する中国は今後ドローン部隊、ロボット犬、ヒューマノイドロボットを監視技術における三つの新たな軸にするとの見方もある。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員、パク・カンヒョン記者