現職大統領初の逮捕・勾留に加え閣僚ら25人起訴、6時間で尹錫悦政権崩壊の憂き目 非常戒厳1年

 2024年12月3日の夜、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「亡国の奈落へ落ちる自由大韓民国を守る」と称してテレビ生中継で非常戒厳を宣布した。わずか6時間で終わったその日の選択は、丸1年経過した今も悲劇として続いている。尹・前大統領本人は韓国の憲政史上初めて逮捕・勾留された現職大統領になり、配偶者の金建希(キム・ゴンヒ)夫人と共に、夫婦そろって勾留起訴されるという目に遭った。最終的に大統領職からは罷免され、政権は崩壊し、尹・前大統領の戒厳宣布に基づいて動いた首相から閣僚、軍と警察、検察の首脳部に至るまで、次々と裁判にかけられた。戒厳の余波は最近、尹・前大統領の所属政党だった保守系の「国民の力」が戒厳同調勢力として追及され、「政党を解散させるべき」という声まで出る状況に至っている。

【早わかり】12・3非常戒厳日誌

■尹錫悦大統領、現職初の逮捕・勾留

 非常戒厳は韓国憲法上の要件を備えることができず、「内乱罪」として追及され始めた。尹・前大統領に対する内乱捜査は非常戒厳解除からわずか2日後の12月6日、まず検察で始まった。検察は軍検察と共に特別捜査本部を立ち上げ、すぐに尹・前大統領を「内乱首謀者」の被疑者として立件、捜査を進めた。続いて特捜本部は12月10日、当時の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相を勾留した。

 このときから検察と警察、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が競って内乱罪の捜査に飛び込んだ。互いに尹・前大統領に対する捜査権を主張し、機関同士で対立を引き起こすこともあった。最終的に捜査権の移管を受けた公捜処は、現職大統領に対する逮捕状発布を受けて官邸を訪れ、逮捕を試みた。尹・前大統領が逮捕に応じなかったことから、警護処との間で物理的衝突も起きた。今年1月15日、2回目の試みの末に尹・前大統領は遂に逮捕された。1月19日に公捜処は尹・前大統領に内乱首謀者などの容疑を適用して勾留し、事件は検察に移され、1月26日に尹・前大統領は刑事裁判にかけられた。

 今年3月、尹・前大統領の勾留取り消し請求が裁判所で受け入れられ、いったんは釈放された。起死回生かと思われたが、4月4日に尹・前大統領は憲法裁判所で大統領職からの罷免宣告を受けた。その後、政権が変わり、今年6月からはいわゆる3大特検が稼働した。尹・前大統領だけでなく前政権に対する捜査が本格化したのだ。

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  • ▲戒厳軍が昨年12月4日未明、韓国国会本館正門前で、国会事務処職員や補佐陣などと対峙(たいじ)している様子。/写真=キム・ジホ記者
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