AI時代の高等教育から消えるプログラミング言語、米スタンフォード大が「人間の言語」を重視する理由とは

■変化するコンピューター工学と授業

 米国の大学のほとんどは授業中にAIを使うことを禁じている。しかし一部の大学は、AI時代に適応できる新たな形の授業を導入している。スタンフォード大は前学期、プログラミング言語を使って自分でソースコードを書くのではなく、AIでコーディングする方法を学ぶ「現代ソフトウエア開発者」講座を初めて開設した。カーネギーメロン大は昨年下半期、マイクロソフトなどビックテック出身の講師が開発現場でのAI活用方法を紹介する講座を開講した。また、ボストンにあるノースイースタン大は、日常使う自然言語で意図(Vibe)を説明するとAIが意図をくみ取ってコーディングしてくれる「VIBEコーディング」の授業を実施した。

 米国の各大学は、AIの使用禁止から積極的な受容・共存へとかじを切り始めている。かつての文章作成の授業のように、AIを正しく使いこなすための「AIリテラシー」能力がどの専攻にとっても必須の教養として定着し、マサチューセッツ工科大(MIT)やスタンフォード大では全学生を対象とした講座が開設された。カーネギーメロン大学の「生成AI」という講座では、同じテーマについて学生が自ら取り組んだ課題をまず提出し、その後AIを活用して誤りを検証・補完したバージョンを再提出させている。また、AIモデルを「協力者」と位置づけ、論文に共著者を記載するように課題にAIモデルの名前を明記させる授業も増えている。

■AI時代の到来で変化してきた企業の人材像

 大学の授業が変化してきたのは、AI時代の到来によって求められる人材像が変化し、それに伴う若手人材の就職難が深刻になったからだ。米ベンチャーキャピタルのシグナルファイアによると、主要ビッグテック15社の全採用人数に占める新卒(実務経験1年以下を含む)の割合は、2019年の14.4%から5年で7.2%にまで減少した。講師のウェイリー氏は「2年前はコンピューターサイエンス学科の学生が2-3社からオファーを受け、うれしい悩みを抱えていた」とした上で「昨年は約10人の学生から入社推薦状の作成を依頼されたが、今年はさらに厳しくなるのではないか」と予想した。

 経歴の浅いエンジニアの役割をAIが代替するようになり、企業の現場では理論よりも実務経験が、コーディング能力よりも同僚やAIとのコミュニケーション能力が求められている。人文学(文系)の時代が再び訪れようとしているとの分析もある。AI分野の世界的な権威者、アンドレイ・カーパシー氏が「AI時代に最も重要な言語は英語だ」と述べたように、今やAIを十分に活用するために重要なのは、プログラミング言語ではなく一般的なコミュニケーション能力や批判的思考力になってきたからだ。米ビジネス雑誌『フォーチュン』は「AIには代替できない判断力や創造性を持つ文系学科の専攻者を再び優遇するようになってきた」との見方を示した。

シリコンバレー=カン・ダウン特派員

【表】AIの波が押し寄せるコンピューター工学の講義

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  • ▲米スタンフォード大学のAI関連授業で、講師の説明を聞きながら「Vibeコーディング(AIと自然言語で対話しながらコーディングする手法)」に取り組む学生たち。15日撮影。/カン・ダウン記者
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