「中小ドル」を攻撃して逆風に直面した極右レッテル貼り【萬物相】

「中小ドル」を攻撃して逆風に直面した極右レッテル貼り【萬物相】

 全州から上京した少女はオーディションに合格したものの、芸能事務所の事情は劣悪だった。宿舎である舎堂洞の屋根部屋(オクタッパン)にはゴキブリまで出た。「見えなければいないも同然」と明かりを消してシャワーを浴びたメンバーもいれば、何が怖いのかと自ら捕まえたメンバーもいる。テレビ出演のスケジュールがなく、地方の舞台であれ街頭ライブであれ、いとわずにこなした。昨年の青龍映画賞で俳優パク・ジョンミンと「グッド・グッバイ」のステージを披露し、深い印象を残したMAMAMOOのファサの練習生時代のエピソードだ。

【図】イルベ表現と方言を区別する方法

 中小芸能事務所に所属するアイドルを「中小ドル」という。中小ドルは成功率が低いだけでなく、ひもじさに耐えなければならない。アイドルとは名ばかりで、人形の目を付けたりピザの箱を折ったりするアルバイトもやる。億ウォン台(1億ウォン=約1080万円)の出演料の代わりに、リンゴやサツマイモといった地方特産物を出演料として受け取る。「中小ドル」は花が開く前に「マンドル(売れなかったアイドル)」になる可能性も高い。第1世代としてはKARAやINFINITEがあり、その後にMAMAMOO、EXIDなどが続いた。防弾少年団のように「中小ドル」からスタートして所属事務所をメジャーへと押し上げたケースもある。

 ファンが「中小ドル」を応援するのは「成長の物語(サーガ)」があるからだ。完成品である大手事務所のアイドルとは異なり、「中小ドル」は自分が発掘して応援し、共に成長していくところに甲斐がある。滑りやすいステージで8回も転び、それでも再びダンスをして、テレビ局から敬遠されればユーチューブやショート動画で自主的なプロモーションを行う。2024年にデビューしたRESCENEもそうしたケースだ。リーダーのウォニはユーチューブで故郷の巨済をPRし、方言を隠さなかった。日本人メンバーのミナミも、思い出の「ギャル」コンセプトで「巨済、ヤッホー」と叫んだ。かつて小学校の運動場で公演したときの様子も、後に知れ渡り、爆発的な応援が続いた。

 そんなRESCENEが暗礁に乗り上げた。リーダーが方言で「ムソプノ(怖いという意味の方言)」と言った場面を巡り、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を嘲笑する「イルベ(日刊ベスト貯蔵所。保守系のネットコミュニティ)ではないか」という攻撃が始まり、ここに韓国政界までが加勢した。これまで「極右レッテル貼り」攻撃は成功率が高かったが、今回はターゲットを誤った。逆境を乗り越えてきた「中小ドル」を標的にしたことで逆風が吹いた。ファンは「こんなに良い子たちを政治に利用するなんて」というコメントで応援した。ファンの集中的なストリーミング(音源再生)により、2年前に発表した「Love Attack」は音源チャートで1位に躍り出た。

 最初から大企業やスターだったものはいない。中小企業やインディーズバンドからスタートし、消費者やファンの応援によって大企業になり、スーパーバンドになる。重要なのは、実力のある企業や歌手が成長できる公正な環境だが、今やその公正性が疑われている。そこに唐突な「極右レッテル貼り」まで介入したためファンは憤慨し、彼らの応援が「中小ドルの奇跡」を守り抜いた。

鄭佑相(チョ・ウサン)論説委員

イラスト=朴祥勛(パク・サンフン)

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