【コラム】586世代の1987年と2020年

パク・チョンチョル、イ・ハンヨルの死に憤った与党586世代の政治家たち
北朝鮮による黄海での公務員殺害には詭弁(きべん)…国民の生命の尊さに違いでもあるというのか

 軍事独裁の暴政により強いられた「基本的人権の制限」を甘受しながらも、「生計の解決が最優先」と言って耐え抜いてきた一般国民が6月抗争に大々的に参加したのは、「政権は国民の命もいつでもないがしろにすることができ、偽りで隠蔽(いんぺい)する恐れもある」という自覚が拡散した側面が大きかった。ところで、約30年が過ぎた今、「キャンドル抗争で誕生した」と言われる文在寅(ムン・ジェイン)政権で、政府がそっぽを向いた無念の死とこれに関するうその証言疑惑が持ち上がった。政府は9月22日、漂流していた公務員が生存している状態で北朝鮮軍に発見されたことを把握していたにもかかわらず、6時間にわたって何らの措置も講じず、殺害を放置した。文在寅大統領は、大統領府の公務員の死亡という情報を入手してから43時間がたってようやく報道官を通じて立場を表明した。「父が残忍に殺された時、この国は何をしていたのか」という公務員の息子の手紙には、「私も心が痛む」としか書けなかった。政府は明確な証拠もなく「公務員が越北(北朝鮮への亡命)を試みたものと判断する」と発表した。公務員と同じ船に乗っていた乗組員らは一斉に「越北の可能性は全くない」と証言したものの、海洋警察はこれを徹底的に隠蔽した。自ら越北を企てた根拠とされた海洋警察による潮の流れの実験も、実は全て失敗に終わっていたことが今になって明らかになった。軍は当初「北朝鮮軍が遺体を焼却した」と発表したものの、これを北朝鮮側が否定すると「確認されていない」と言葉をすり替えた。

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