▲1938年、朝鮮総督府が東京国立博物館に持ち出した慶尚南道梁山市の夫婦塚からの出土品。写真左は太環耳飾、同右は金銅冠。写真提供=国立文化財研究所

 韓国文化財庁の国外文化財回収担当機関「国外所在文化財財団」(アン・フィジュン理事長)は、日本にある楽浪・新羅・伽耶時代の古墳出土品の一部を調査し、調査対象416点のうち415点について「朝鮮総督府など帝国主義の日本の公権力による持ち出しであることは明らかで、取り戻すべき物である可能性が高い」と語った。このうち、朝鮮総督府が発掘して日本に持ち出した出土品で、最近両国間で取り沙汰されている夫婦塚(慶尚南道梁山市、新羅時代)の出土品のうち、東京国立博物館が保管している272点についても「違法持ち出しは明らかだ」と語った。

 文化財庁が国外所在文化財財団に依頼し、昨年12月に対外秘で作成した「2013年国外文化財出所調査報告書」は、日本統治時代に朝鮮総督府が発掘に関与した合計19カ所からの出土品の価値や返還の可能性を専門家などに依頼し、A・B・Cの3段階で評価している。対象は慶尚北道慶州市・高霊郡、慶尚南道晋州市・梁山市、江原道江陵市、北朝鮮の平安南道大同郡・温泉郡、黄海北道鳳山郡などから出土した楽浪・新羅・伽耶時代の出土品416点で、現在は東京国立博物館、東京大、京都大などが保管中だ。国外所在文化財財団は、文献調査や専門家の評価に基づき、このうち415点について、返還を受けるべき出土品に当たる「A等級」に分類した。A等級は「出所または情報が明確で、報告書や論文を通じ公権力による持ち出しが確認された出土品」だ。A等級の出土品のうち、平安南道大同郡の貞栢里古墳から出土した楽浪時代(1世紀)の「漆耳杯」と、慶尚南道梁山市の夫婦塚から出土した新羅時代(4-5世紀)の出土品などは、その価値から最高評価のA等級とされている。

 現在、東京国立博物館に保管されている夫婦塚の出土品について、報告書では「1920年の朝鮮総督府調査で出土した出土品全体が1938年に(現在の)東京国立博物館に流出した。朝鮮総督府は夫婦塚の出土品と校洞古墳(慶尚南道昌寧郡)の出土品を(東京国立博物館などに)寄贈したが、校洞古墳の出土品97点は韓日基本条約締結時に文化財返還手続きを経て韓国国立中央博物館に返還された。しかし、夫婦塚の出土品は除外された。朝鮮総督府による違法な持ち出しであることは明らかなので、今後返還を受けなければならない」としている。文化財庁から資料を入手した野党・新政治民主連合の沈載権(シム・ジェグォン)議員は「文化財庁はこの報告書を3月に外交部(省に相当)に渡したが、2回にわたり海外文化財協議会が開かれただけで、取り戻そうという努力はしなかった。これは明らかな職務放棄だ」と批判した。

 国外所在文化財財団が日本で公開されている出土品を中心に調べたところ、韓国の文化財は6万6824点に上る。専門家らは、非公表あるいは個人所有の出土品を合わせると30万点を超えるものと推定している。韓国の民間団体が返還要求をしているにもかかわらず、日本側は「どのような経路で日本に持ち込まれたのかは分からない」と言い逃れをしており、外交部も「文化財庁と協議しなければならない」との見解を示している。

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