▲従来の観測鏡と2000万ウォンする多機能観測鏡-昨年から一線部隊に配備されている新型多機能観測鏡で捕捉した目標物(右の写真)と、従来の観測鏡で同じ目標物を捉えたときの様子(左の写真)。拡大倍率が低い多機能観測鏡は、従来の機器より目標が小さく見える。/写真=韓国国会

1台2000万ウォンの狙撃用観測鏡…銃に付いたスコープより低倍率

 韓国軍が昨年から「命中率向上」を名分として一線部隊に配備している新型の多機能観測鏡(写真)が、銃に付いている照準用のスコープより倍率が低いということが20日までに分かった。狙撃手(スナイパー)と共に行動する観測手(スポッター)は、命中率を高めるために観測鏡で標的を精密観測し、その情報を狙撃手に伝える。ライフルスコープより性能が低い観測鏡では、観測手が自分の役割をきちんと果たせない。1台およそ2000万ウォン(現在のレートで約190万円。以下同じ)するこの観測鏡の配備を巡って、韓国軍内外からは「狙撃手の概念もきちんと理解していない装備運用」という批判が出た。

 韓国軍関係者は「狙撃手を補助する観測手に昨年から新型の多機能観測鏡が配備されたが、最大倍率は5.7倍というレベルで、一般的な狙撃手のスコープより低い」として「一線では、これを巡って『本当にきちんとした観測鏡を与えているのか』という声がかなりある」と伝えた。韓国軍の狙撃手が現在使っているライフルスコープは、3-12倍に拡大して標的を識別できる。従来使用していた狙撃用観測鏡は12-40倍の水準だったといわれており、新型の多機能観測鏡はこれより倍率が格段に低いということになる。

 観測手は、狙撃手の撃った弾が外れた場合、これを修正する役割を担う。そのため観測手が使用する観測鏡は、狙撃手のライフルスコープより倍率が高いことが一般的だ。これについて韓国軍は「地形やさまざまな敵の位置など全般的な状況観測のため、視野が広い観測装備が必要」だとし、さらに「新型多機能観測鏡は夜間の敵を識別するなど、さまざまな機能を追加で持っている」と説明した。だが、ある関係者は「観測鏡が広い視野も必要とするのは間違いないが、倍率を高めて正確にターゲットを識別する能力もまた有していなければならない」として「数千万ウォン(1000万ウォン=約95万円)する新型観測鏡が、事実上双眼鏡レベルの拡大能力しか持っていないのは残念」と指摘した。

 韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「韓国軍当局が狙撃手の運用概念をきちんと理解しておらず、まるで砲兵のように考えているのだと理解している」と語った。

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