▲李在明大統領/写真=聯合ニュース

 李在明(イ・ジェミョン)大統領の「京畿道法人カード流用」疑惑事件の一審の裁判が、事実上無期限延期された。李大統領の五つの刑事事件裁判のうち偽証教唆の裁判と公職選挙法違反事件の破棄差し戻し審、「大庄洞裁判」が既に延期されており、今回の決定で、大統領選挙を前後して四つ目の裁判中断事例となった。

 水原地裁刑事11部(裁判長:宋秉勲〈ソン・ビョンフン〉部長判事)は1日、李大統領と元京畿道秘書室長、元京畿道別定職公務員の計3人を被告人とする業務上背任容疑事件の4回目の公判準備期日を開いた。この公判準備期日で裁判部は「被告人の裁判期日を『追定』する」とした。追定とは追後指定の略で、裁判日を特に決めず、後で再度定めることを意味する。

 宋裁判長は、5月27日に開かれた3回目の公判準備期日では「7月1日の公判準備期日を最後に本裁判を始めたい」としていたが、その後、李大統領が当選するや裁判を延期することにしたのだ。

 裁判長は「被告人は2025年6月の大統領選挙に当選し、韓国大統領として行政の首班であると同時に国家元首として国を代表する地位を持っている」「被告人が大統領として憲法上の職務である国政運営の継続性を保障するため、公判期日を追後指定したい」と述べた。

 ただし、共同被告人の元京畿道秘書室長と元京畿道別定職公務員については「ひとまず予定通り公判手続きを進めたい」とした。裁判部は「(李大統領と)共に(公判期日を)追定した場合、5年後に裁判が開かれるわけだが、不同意の供述調書が多く、これに伴う証人らの記憶力減少で実体的真実の発見がきちんと行われるかどうか疑問」と述べ「裁判の進行過程で被告人の防御権の問題が出現したり、手続きの進行に問題が見つかったりしたら、期日を進めるかどうか追って決定したい」とした。

 この日、裁判部は明確な法的根拠を明かさなかったが、このような判断は韓国憲法84条に基づくものとみられる。韓国憲法84条は「大統領は在職中に刑事上の訴追を受けない」という不訴追特権を定めている。しかし「訴追」の範囲が明確でなく、論争になっていた。法曹界からは、「訴追」の範囲には裁判も含まれるので大統領になる前に始まった裁判も中断すべき、という主張と、起訴のみが該当するので裁判は継続すべき、という主張が出ていた。

 先に李大統領の公職選挙法違反事件と大庄洞事件の裁判部は、そろって「訴追」に裁判が含まれると判断し、6月の時点で裁判を中断した。

 1日に公判準備期日を開くことを巡っても、さまざまな解釈があった。李大統領の法律代理人を務める法務法人ユルリプ側は6月29日、裁判所に公判準備期日の追定申請書を出した。訴追の範囲には公判準備期日も含まれるという趣旨だ。

 しかし裁判部は「追って公判期日を指定するかどうかとは無関係に、公判準備手続きは予定通り進める」「刑事訴訟法上、公判手続きに関する規定が公判準備手続きにそのまま適用されると見ることはできない」とした。公判と準備手続きは性格が異なり、公判停止事由が準備手続きの停止事由になるわけではない―というのだ。

 なお、同裁判部は李大統領のいわゆる「サンバンウル対北送金事件」(第三者収賄容疑)などの裁判も担当している。この対北送金事件も、7月22日に公判準備期日が予定されている。

 今回の事件は、李大統領が京畿道知事だった当時、金恵京(キム・ヘギョン)夫人などと共に京畿道の公用カードなどを個人的に使ったというものだ。検察の調べによると、李大統領は2018年7月から21年10月まで、京畿道の公用車を個人的に使用し、京畿道の予算で自分の食費、フルーツ代、クリーニング代を決済するなど、計1億653万ウォン(現在のレートで約1128万円)を使ったという。検察は昨年11月に李大統領などを在宅のまま起訴し、金夫人に対しては起訴猶予処分とした。李大統領側は「この事件と関連はない」として全ての容疑を否認した。

水原=キム・スオン記者

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