▲尹錫悦・前大統領の12・3非常戒厳を積極的に制止しなかった疑いで裁判にかけられた韓悳洙・元首相。/写真=ニュース1

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患容疑を捜査している趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)のチームは26日、尹・前大統領の非常戒厳宣布をほう助した容疑で在宅起訴された韓悳洙(ハン・ドクス)前首相について、懲役15年を求刑した。12・3非常戒厳に関連して起訴された前政権の閣僚の中では初の求刑だ。韓・前首相の一審の言い渡しは来年1月21日に行われる。

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 特検側はこの日、ソウル中央地裁刑事33部(裁判長:李珍官〈イ・ジングァン〉部長判事)で開かれた結審公判で「12・3非常戒厳は民主主義に対するテロであり、45年前の内乱よりも大きく国の格を損ない、韓国国民に極めて大きな喪失感を与えたという点で、その被害は計り知れない」「韓・前首相は行政府のナンバー2かつ首相として、内乱の事態を防ぐことができる事実上唯一の人間だった」と、重い刑を求刑する理由を表明した。

 韓・前首相は、尹・前大統領の非常戒厳宣布に加担して内乱をほう助した疑いなどで今年8月に起訴された。非常戒厳の違憲性・違法性を知りつつも尹・前大統領を阻止せず、むしろ形式的正当性を持たせるために国務会議(閣議)招集を建議するなど、戒厳宣布を助けた疑いが持たれている。戒厳宣布文の法律的欠陥を補完するため、戒厳が終わった後に事後宣布文を作成しつつも、その廃棄に関与し、憲法裁判所における尹・前大統領の弾劾審判時に「戒厳宣布文を受け取ったり見たりしたことはなかった」と虚偽の証言をした疑いもある。

 これについて韓・前首相側は、昨年12月3日の夜に尹・前大統領の執務室で初めて非常戒厳宣布計画を聞いたとき、「韓国の対外信認度が落ち、経済が駄目になりかねない」と言って制止したと主張した。この日、韓・前首相は最終弁論で「非常戒厳によって韓国国民が直面した苦痛と混乱について、深く申し訳ないと思っている」と述べつつ「国務委員(閣僚)をお迎えして、みんな一緒に大統領の決定を撤回してもらおうとしたが、力及ばず、最終的に防ぐことができなかったが、非常戒厳に賛成したり助けようとしたりしたことは決してない」と語った。

 韓・前首相側の弁護人は「非常戒厳宣布がすぐさま刑法上の内乱罪につながるわけではない」としつつ「韓・前首相は『宣布』のほかに具体的な内乱行為について知らなかった」と強調した。戒厳宣布そのものの違法性は争いの余地があり、その後の、違法の余地がある軍投入などにも韓・前首相は関与していない―という趣旨だ。

 逆に特検側は、1980年の5・17非常戒厳拡大措置に関わって内乱容疑で有罪判決を受けた周永福(チュ・ヨンボク)元国防相の事例を挙げて「裁判所は懲役7年を言い渡し『他人の力を借り、所任を尽くせなかったと弁明するのは下僚のやることであって、地位が高く、責任が重い場合の弁明としては受け入れられない』と判示した」と述べ「同じように、行政府ナンバー2だった被告の弁明は容赦・容認されない」と主張した。

 この日、内乱関連事件の中で韓・前首相の裁判が真っ先に結審したことに伴い、「12・3非常戒厳が内乱なのかどうか」についての裁判所の最初の判断は李珍官裁判長が下す可能性が高まった。李裁判長は、証人として出廷した前政権の国務委員を叱責(しっせき)するなど、有罪の心証を持っているかのような裁判進行を行い、法曹界からは「重い刑の言い渡しが予想される」という見方が出ている。

 李裁判長は、当初特検が韓・前首相を内乱首謀者のほう助容疑で起訴したのに対して、内乱重要任務従事容疑を追加するよう要請して起訴状を変更させたが、これもまた有罪宣告のためのものではないかという分析がある。内乱首謀者の正犯として起訴された尹・前大統領よりも先にほう助の容疑で有罪を言い渡すのは容易ではないからだ。

キム・ウンギョン記者、オ・ユジン記者

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