▲イラスト=UTOIMAGE

 恋人の女性と一緒にオーストリアの最高峰に登り、女性を置き去りにして一人で下山した登山家が、過失致死容疑で逮捕された。この登山家は、疲労と低体温症で動けなくなった女性を置き去りにし、女性は約6時間後に死亡が確認された。

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 米紙ニューヨーク・ポストなど海外メディアが6日(現地時間)、報じた。それによると、今年1月、登山家のA氏は恋人の女性と共にオーストラリアの最高峰グロスグロックナー山の頂上に向かって登山を始めた。女性は登山に慣れておらず、徐々に疲労を感じ始め、順調に思えた登頂に黄信号がともり始めた。

 目的地まであと50メートルの地点で、女性の体調に異変が起きた。疲労と低体温症、方向感覚の喪失などによって、それ以上動けなくなってしまったのだ。一緒に登っていた登山家A氏は助けを求めるために女性を一人置き去りにして下山することを決めたが、女性にブランケットを掛けるなどの措置も取らなかったという。

 極寒の中で置き去りにされた女性は、結局死亡した状態で発見された。当局が調査した結果、二人は出発予定時間を2時間過ぎていたにもかかわらず登山を強行し、適切な非常用装備も持っていなかったことが分かった。特に、女性は体感温度が氷点下20度近い極寒の天候だったにもかかわらず、寒い山に全くふさわしくない服装をしていたという。

 女性が遭難状態となったのは午後8時50分ごろだった。しかし現地の検察は、警察のヘリコプターが付近を飛んでいたにもかかわらず、登山家A氏は遭難信号を送らなかったと主張している。また、A氏は(一度警察に通報した後)携帯電話の着信音を無音にしていたため、警察が繰り返し連絡したにもかかわらず電話に出なかったという。

 その後、A氏による遭難通報を警察が受信したのは翌日未明の3時30分ごろだった。強風でヘリコプターの出動が遅れ、救助隊が現場に到着したのは午前10時ごろだった。女性はすでに死亡した状態だった。

 検察側は「A氏はベテランの登山家であるため、女性と一緒に登山することを計画した以上はもっと責任を持つべきだった」と指摘した。一方、A氏の弁護人は「今回のアクシデントは悲劇的な事故としか言いようがない」とした上で「A氏は本当に残念に思っている」と述べた。裁判は来年2月19日に行われる予定だ。

ムン・ジヨン記者

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