裁判
北の指令受け活動した地下スパイ団「旺載山」、関連組織幹部に起訴から12年8カ月を経て執行猶予判決
北朝鮮の指令を受けて活動したスパイ団「旺載山」の関連組織の幹部が、起訴から12年8カ月を経て一審で懲役の執行猶予判決を受けた。仁川地裁刑事4単独の郭如山(クァク・ヨサン)判事は9日、国家保安法違反(称揚・鼓舞等)容疑で在宅起訴されていたA団体事務局長のB被告(46)に対し、懲役6カ月・執行猶予2年を言い渡した。
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「旺載山」は2011年に摘発された対南(対韓国)地下組織だ。検察による捜査の結果、北朝鮮の対南工作部門である第225局の指令を受けて当時の民主労働党や民主労総(全国民主労働組合総連盟)を取り込むなど、およそ10年にわたりスパイ活動を行ってきた事実が判明した。検察は同年、「旺載山」総責任者のキム氏とソウル地域責任者のイ氏、仁川地域責任者のイム氏など計6人を国家保安法違反などの容疑で起訴した。総責任者の被告は主体思想派の学生運動出身者で、1993年に金日成(キム・イルソン)主席から「クァンドクポン」というコードネームをもらって活動したことが分かった。被告はIT起業家として活動しつつ中国で北朝鮮の工作員と会い、指令を受け取った。ソウル地域責任者の被告は林采正(イム・チェジョン)元国会議長の秘書官だった。キム被告は2013年に大法院(最高裁)で懲役7年と資格停止7年、イ被告など3人は懲役4-5年と資格停止4-5年がそれぞれ確定した。
9日に判決が下ったB被告は、2013年に遅れて起訴された。検察は、北朝鮮が総責任者のキム被告に「A団体を通して仁川地域の大衆宣伝闘争を展開せよ」と複数回にわたって指令を下した事実を確認し、B被告など3人を国家保安法違反容疑で裁判にかけた。B被告は金日成父子と北朝鮮の体制を称賛する「香りある生き方」など利敵表現物138点を所持していた疑いなどが持たれている。
裁判は、被告側が「検察の提出した証拠の中には事実関係の確認されていない内容が多い」として証拠調べを要請した影響で長期化したという。2017年には被告側が国家保安法7条(称揚・鼓舞等)について違憲法律審判の請求を行い、裁判が中断した。憲法裁判所が23年に国家保安法7条について合憲決定を下し、被告の裁判は24年5月に再開された。そして起訴から12年8カ月が経過した2月9日に一審判決が出たのだ。
被告側は、検察が違法に収集した証拠で起訴したと主張したが、認められなかった。ただし、被告が繰り広げた署名運動など一部の容疑については、無罪が言い渡された。郭判事は「被告は利敵表現物を頒布・所持し、同種の犯罪で処罰された前歴もある」としつつ「暴力的手段を動員して国家存立の安全や自由民主主義の基本秩序を乱してはいないことなどを考慮した」と述べた。先に検察は、被告に対し懲役2年と資格停止3年を求刑していた。
判決直後、被告は「無罪を予想していたのに残念だ」「控訴する予定」と主張した。なお、被告と共に起訴されたA団体関係者2人は、仁川地裁で裁判を受けている。
仁川=イ・ヒョンジュン記者