李炳泰(イ・ビョンテ)規制合理化委員会副委員長(首相級)の「5・18(1980年の光州事件)聖域化」に関する主張が論争に巻き込まれた。李副委員長は、「スターバックスに行かなきゃ」という掛け声によって培材高校野球部が重い処分を受けたことを巡り、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に「歴史の聖域化で、若い生徒たちのいたずらに近い逸脱行為までもが大人たちの『政治』になってしまった」と書き込んだ。「金日成(キム・イルソン)の写真が掲載された新聞が雨に濡れるのを見て泣き叫ぶ北朝鮮の姿」に例えたりもした。

【写真】5月の英霊を追悼する光州一高・培材高の野球部

 李副委員長の主張は、5・18民主化運動をおとしめる内容ではなかった。韓国の民主化に対する5・18の貢献、民主主義を守るための光州の犠牲は、すべての韓国国民が知っている歴史的事実だ。李副委員長も5・18を尊重すると述べている。彼が懸念したのは、5・18に関連する言及に対して行き過ぎた対応がなされ、表現の自由までもが萎縮してしまう状況だった。そういう意味で「5・18は聖域なのか」と問いかけたのだ。

 すると、進歩(革新)系与党「共に民主党」の大物議員は「はい、その通りです。(5・18は)聖域です」と李副委員長を攻撃した。青瓦台(韓国大統領府)は「公職者として不適切だ」として厳重警告する意向を示し、与党側からは辞任要求が殺到した。李副委員長が5・18を蔑んだわけでもないのに、端から口を封じようとした。

 5・18の価値が損なわれることは当然防ぐべきだが、最近の状況は「表現の自由」が危機に瀕していると感じるほど行き過ぎている。反中デモの規制や横断幕の撤去で物議をかもし、大統領が過去に自身に関する疑惑を取り上げた放送局に対して公開謝罪を要求したこともあった。戒厳令の余波で野党が支離滅裂な状態にある中、民主党が圧倒的な議席数に溺れて独走していることと無関係ではない。自分たちに異議を唱えるな、という態度である。

 民主党が単独で処理し、今月7日から施行される改正情報通信網法は、韓国の「表現の自由」をさらに萎縮させるという懸念を強めている。この法律によれば、政治家や高位公職者、大企業が懲罰的損害賠償訴訟を通じて、報道機関やユーチューバーの活動を封じ込めることができる。ネイバーやカカオといった大手プラットフォーム事業者は、虚偽・ねつ造情報の疑いがあるというだけで、掲示物を即座に削除できる。フェイクニュースを根絶するという趣旨ではあるが、国民が話し、書く自由を抑圧する「口封じ法」だという批判が殺到している。

 ユーチューブやポータルサイトから政府批判のコンテンツや投稿が消えてしまうかもしれないという恐怖から、わずか1カ月で14万人が「情報通信網法撤回請願」に同意し、韓国国会の常任委員会案件として送られた。「表現の自由」の拡張という時代の流れに逆行する法律だということだ。

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