▲改革新党の李俊錫代表(左)と韓国史講師出身のユーチューバー、チョン・ハンギル氏(本名チョン・ユグァン)が2月27日、ユーチューブチャンネル「ペン・アンド・マイクTV」で不正選挙をテーマに討論を行っている/画面キャプチャー
旧正月に大学時代からの長年の友人から連絡があった。ついに大学教授になったということだった。 「本当にすごい」と激励の言葉を交わした後、友人が「最近はコラムを書いていないのか」と私の近況を尋ねた。私は少し疑問に思って「朝鮮日報の週末版に書いているのに、見てないのか」 と聞き返した。友人は両親と住んでいるが、両親が朝鮮日報の長年の読者だったからだ。友人は「そうなの?」と少し戸惑って答えた後、両親は最..
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▲改革新党の李俊錫代表(左)と韓国史講師出身のユーチューバー、チョン・ハンギル氏(本名チョン・ユグァン)が2月27日、ユーチューブチャンネル「ペン・アンド・マイクTV」で不正選挙をテーマに討論を行っている/画面キャプチャー
旧正月に大学時代からの長年の友人から連絡があった。ついに大学教授になったということだった。 「本当にすごい」と激励の言葉を交わした後、友人が「最近はコラムを書いていないのか」と私の近況を尋ねた。私は少し疑問に思って「朝鮮日報の週末版に書いているのに、見てないのか」 と聞き返した。友人は両親と住んでいるが、両親が朝鮮日報の長年の読者だったからだ。友人は「そうなの?」と少し戸惑って答えた後、両親は最近朝鮮日報の購読をやめたと言った。理由を尋ねると、友人は「朝鮮日報は『アカ』の新聞だって言っていた」と答えた。それを聞いた瞬間、おおよその状況を推測できた。「不正選挙論?」と問い返すと、友人は大笑いしながら「尹(ユン)アゲインってことさ」と言った。
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「アカ」は俗に共産主義者を呼ぶ言葉だ。朝鮮日報は共産主義とは無縁の新聞だと思うが、なぜ友人の両親は朝鮮日報を「アカ」呼ばわりしたのだろうか。それはきっと不正選挙論を支持しなかったことに腹を立てたのだろう。それで、今は自分のお気に入りのユーチューブ番組ばかりを見る知的な「引きこもり」になってしまったのではないだろうか。
考えてみると、そうなった最大の責任は私のような政治学者にある。選挙研究は政治学の主要な分野であり、政治学以外の社会科学の中で選挙研究がこれほど大きな割合を占める分野はない。それならば、政治学者が率先して選挙不正論に関する疑問を解消すべきではなかったか。
責任を問うなら、政治家も例外ではない。率直に言うと、今の国民の力の政治家のほとんどは選挙不正論を信じていない。それでも大多数は自分の信念を明らかにするどころか、選挙不正論者の反応が怖いがゆえに沈黙したり、あれこれと発言したりしている。彼らのあいまいな態度が逆に選挙不正陰謀論をあおっている。
第三に私はメディアにも責任があると考えている。昨年、中堅ジャーナリストらとの会食での出来事だ。引退を控えたあるジャーナリストが選挙不正論の話を始めた。紙面を通じて正確な事実関係を総合的に整理すべきではないかと後輩記者に言ったことがあるという。するとその後輩は「無駄だ。事実を話しても聞こうとせず、むしろ怒るだけなので逆効果だ」と言ったという。他のメディア関係者も評価は似ているようだ。
2月末に行われた改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)代表と韓国史講師出身のチョン・ハンギル氏による不正選挙に関する討論を見て、月刊朝鮮の元編集長で時事ユーチューバーである崔秉黙(チェ・ビョンムク)記者はこう評した。「不正選挙はファクトの問題ではなく信念の問題」であるため、「事実関係を巡る議論でこの問題を解決することはできない」というのだ。事実がどうであれ、自分の信念だけを追い求めることを「狂信」と呼ぶ。 狂信者にはどうせ説明が通じないので、時間の無駄だとの指摘だ。
一見もっともらしいが、それはメディアの役割に反する。ファクトチェックこそがメディアの基本的な責務ではないか。事実に基づく根拠が乏しい陰謀論を広め、自分の主張に同調しないと、メディアを強引に「アカ」呼ばわりし、購読をやめると脅す。そういう読者について、「わざわざ相手にする必要があるのか」と無視し続けることが正しい対応なのか。
ファクトチェックを無視すれば、うそは毒キノコのように広がる。例を挙げてみよう。選挙不正論者はトランプ米大統領を引き合いに出し、まるで米国で長期にわたり大規模な選挙不正が行われてきたかのように主張するが、実際はそうではない。アメリカ政治学会(APSA)の選挙支援タスクフォースが2020年の大統領選直前に発表した資料によると、米国における20年までの12年間の全国選挙で名義盗用、複数登録、郵便投票詐欺など不正選挙として報告された事例は計2068件だった。この数字は多く見えるかもしれないが、12年間で約10億回以上の投票があったことを考慮すると、投票数全体の約0.00021%にすぎない数値だ。さらに、APSAの説明によれば、これらの事例はほとんどが選挙管理者のスクリーニングプロセスを通じて最終投票結果には反映されず、選挙不正ではないかと問題が提起された個別の事件を調べた結果、ほとんどが単純な表記ミスか選挙管理職員の単純ミスだったという。もちろん、誤りやミスは少ないに越したことはないが、この程度の数値で全国選挙の結果を変えるほど大きな選挙不正があったと主張できるだろうか。
今や知識人であれ、政治家であれ、メディア関係者であれ、選挙不正論の前で躊躇したり無視したりする姿勢を捨て、より積極的に反論する必要がある。李俊錫代表とチョン・ハンギル氏の討論を見ていて最も残念だったのは、「国利民福」と政策に関する討論の消失だった。選挙不正論だけを語り続け、結局国民のために何をどうすべきかという議論が不在だった。それが現在の韓国保守右派の現実だ。
今こそ真に政策を語り、未来を語るためには、妄想にとらわれた選挙不正論者を放置するのではなく、むしろ「事実」の光を照らし、対話の手を差し伸べるべきだ。個人的には朝鮮日報が「アカの新聞」だとして購読をやめた友人の両親に手を差し伸べたい。彼らがその「隠れ家」から抜け出し、現実を直視し、顔を上げて未来を見つめることを心から願っている。そのためには、まず購読を再開する必要があるのではないだろうか。
張富丞(チャン・ブスン)関西外国語大学外国語学部教授
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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