【独自】歪曲疑惑招いた文在寅政権の統計内容を特別監査へ

早ければ6月中にも着手か
住宅・雇用関連統計、現実とかけ離れた発表多い
政権引き継ぎ委員会に特別監査計画報告

 文在寅(ムン・ジェイン)政権下で「ずさん・歪曲(わいきょく)」疑惑を頻繁に招いた住宅・雇用統計など主な政府統計の内容について、新政権発足後に監査院が特別監査を行う予定であることが分かった。監査院はこれを今年の主要監査計画に盛り込み、このほど政権引き継ぎ委員会にも報告したとのことだ。

 31日の本紙の取材を総合すると、監査院はまず、今年中または下半期に「政府住宅関連統計」の特別監査を行う計画だという。早ければ6月中にも着手する見通しだ。監査院周辺は「これまで現政権が発表してきた住宅統計は実際の住宅価格と差があることが多かったが、なぜそうしたのかを調べるということだ」と話している。政府公式住宅価格統計を出すのは国土交通部傘下の韓国不動産院だ。ところが、ここで出す統計は現政権になってから急騰している住宅価格相場をきちんと反映できていないと頻繁に指摘されており、「統計歪曲」疑惑を招いている。

 2020年7月、当時の金賢美(キム・ヒョンミ)国土部長官は国会で、「ソウルの住宅価格は(この3年間で)11%上がった」と発言して「統計操作」だと批判された。当時は「一夜にして1億ウォン(現在のレートで約1000万円)上がる」と言われるほどソウル市・京畿道のマンション価格が急騰した時期だが、11%だなんて話になるか、ということだ。金賢美元長官が根拠とした統計は、2017年5月から2020年5月まで韓国不動産院の月間売買価格指数上昇率だった。このころ、盧英敏(ノ・ヨンミン)元大統領秘書室長も「住宅価格は安定化の傾向にある」と、洪楠基(ホン・ナムギ)元経済副首相は「住宅売買市場は横ばいで安定」と言ったが、これも韓国不動産院の統計が主な根拠だった。その一方で、民間調査機関のKB国民銀行が集計した「中位価格」基準では、同期間にソウルのマンション価格は53%上がっており、問題が大きくなった。

 ところが、韓国不動産院が昨年7月からマンションのサンプル数を2倍に増やして統計を再集計したところ、マンション価格が急騰したことが分かり、こうした問題への批判がさらに強まった。韓国不動産院の月間住宅価格動向調査では、昨年7月のソウル市内のマンション平均売買価格は11億930万ウォン(約1億1000万円)で、6月の9億2813万ウォン(約9300万円)より1億8000万ウォン(約1800万円)上がった。1-6月の上昇幅は3000万ウォン(約300万円)程度だったので、1カ月で6倍も上がったということだ。このため、「政府の住宅統計が現実とかけ離れていたことを自ら証明したことになる」という指摘もあった。元監査院幹部らは「住宅価格の急上昇に伴う不満をなだめるため、意図的に統計を歪曲したのかが監査の核心ポイントになるだろう」と話す。

 さらに、監査院は今年半ばに「国家統計システム運営管理」特別監査に着手する計画だと伝えられた。監査院周辺からは「現政権の雇用統計が主な監査対象になる可能性が高い」との観測が出ている。現政権が雇用創出実績を水増しするために「統計粉飾」をしたのではないかという疑惑がこれまでたびたび浮上していた。

 統計庁は2020年初め、新型コロナウイルス流行により高齢者のアルバイト雇用の63%が失われたのにもかかわらず、これらを「失業者」でなく「就業者」の一時休職者に分類し、60歳以上の就業者が57万人増えたと発表した。現政権で創出された雇用はかなりの数が「短期アルバイト」だが、これを就業者と見なし、「雇用改善指標」として利用したとの指摘も多い。誠信女子大学研究チームが2019年にフルタイム労働者と見なされる週36時間労働基準で就業者数を計算したところ、2年間で雇用が20万件以上減っていたという研究結果もあった。

 今回の監査院の「統計特別監査」をめぐって、官界からは「住宅・雇用統計歪曲疑惑は現政権当初からずっとあった慢性的な問題なのに、監査を先送りしてきた」「すぐに監査を通じて事実関係を明らかにし、間違っている部分を正すべきだった」という声が上がっている。

チョ・ベッコン記者

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