【コラム】忘れたくても忘れられない文大統領(上)

政権期間中ずっと統計論争
最後まで成果粉飾
うまく行けば自分のおかげ、うまく行かなければ他人のせい
この5年間の要約版だった最後の2週間

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今日、青瓦台(大統領府)を去る。任期最後の日に批判文を書くつもりはなかった。だが、心変わりをしたのは、終わったのに終わらない文大統領の「終わりの言葉」があったからだ。文政権は歴代最大となる分量の国政白書を出した。その分量は22巻・1万1944ページに達するという。特に統計歪曲(わいきょく)疑惑が多かった政権だけに、この膨大な分量の白書にどれだけ多くの統計粉飾があっただろうか、と思った。文大統領が2週間前に放送された有名ジャーナリスト・孫石熙(ソン・ソッキ)元JTBCニュースキャスターとのインタビューで「経済の成果に対して穏当な評価を受けるべきだ」と言って提示した経済指標からしてそうだ。青瓦台を離れるにしても、ファクト(事実)は言っておかなければならない。

 (1)「公正・正義・平等を測る指標は客観的に見て良くなった」=文大統領が孫石熙氏にこの話をした時、画面にグラフが出た。所得5分位倍率(上位20%と下位20%の所得比率)が2017年の6.96倍から2020年には5.85倍に下がったというグラフだった。これを踏まえて、文大統領は「5年間という長い期間で分配が改善されたものの、当初はしばらくの間雇用が減り、分配の指標が悪化したという固定観念のために間違って評価されている」と述べた。本当にそうなのだろうか。

 統計庁は分配指標を2種類の所得で集計している。自分の力で稼いだ市場所得と、政府に税金を払ったり、税金の支援を受けたりした後の仮処分所得の2種類だ。文大統領が取り上げたのは仮処分所得の分配指標だった。文政権で市場所得の分配指標は悪化した。市場所得5分位倍率は2015年の10.41倍から2020年は11.37倍へと、相対的貧困率は19.5%から21.3%へと高まった。「所得主導成長をする」と言って、政権序盤に最低賃金引き上げなどをして暴走した。「弱者をいっそう苦しくさせる」と政策の副作用を懸念する経済団体役員に向かって大統領が「社会的二極化を生み出した主な当事者」と名指しすると、与党寄りメディアは一斉にその経済団体役員を攻撃した。しかし、実際に分配指標の数値が悪くなると統計庁の庁長を変え、統計集計方式まで変えて議論を招いた。市場所得の分配指標は5年間改善されなかった。大統領は税金による支援で改善された仮処分所得の分配指標だけを見せた。当然、政府は税金で経済的に苦しい人を助け、分配を改善しなければならない。だが、それで政策失敗による打撃をなかったことにすることはできなかった。

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