予備校から金銭受け取っていた高校教師たちは韓国「私教育カルテル」の氷山の一角【7月25日付社説】

 現職の高校教師約130人が大手予備校からこの10年間で5000万ウォン(約550万円)以上の金銭を受け取っていたことが韓国国税庁の税務調査で明らかになったという。約130人のうち1億ウォン(約1100万円)以上を受け取っていた教師は約60人で、最高で9億3000万ウォン(約1億円)を受け取った教師もいるとのことだ。まだ明らかになっていないケースの方が多いだろう。これら教師たちが私教育市場と一線を画し、金を稼ぐ以上の情熱を持って自身の学校の生徒たちを教えていたのか気になるところだ。

 さらに気になるのは、現職教師たちがどのようなことをした見返りとしてこれだけの金銭を受け取っていたのかということだ。韓国の私教育市場では、大学修学能力試験(修能、日本の大学入学共通テストに相当)に近い予想問題を作る予備校ほど、受験生が集まって大金を稼ぐ構造になっている。修能の的中率が高いほど、不安でいっぱいの受験生と保護者を相手に、とんでもなく高額の受講料を取ることができるからだ。現時点では、現職教師たちが予備校に対して修能模擬試験問題の出題、入試コンサルティング、講義などを行い、毎年金銭を受け取っていた可能性が高いと言われている。教師たちが具体的にどのような役割をして、このような金銭のやり取りがあったのか、究明しなければならない。

 教師たちの中には「修能模擬試験出題」や「教育課程研究」など、韓国教育課程評価院の業務に加わっていた人々も多数いたという。同評価院は修能問題を出題し、大学入試に関する教育課程を研究する機関だ。大学入試予備校は教師たちを通じて修能出題傾向や方向性などの情報を把握し、その見返りとして大金を提供したとすれば、いわゆる「私教育カルテル」の一端が明らかになったと考えられる。現職教師は同評価院の修能出題に参加する場合、秘密維持の誓約をするが、これに違反した可能性がある。

 生徒の保護者たちは、修能の出題傾向だけでなく、校内試験問題の流出といった犯罪行為が教師たちにあったのではないかと疑っている。修能だけでなく、内申書の成績も大学入試に決定的な影響を及ぼす。教師たちが学校の試験に関する出題傾向や問題を予備校側に流出させ、予備校が一部の受講生たちにこれを伝えていたとすれば、次元の違う不正になる。

 この問題は、調査結果によっては韓国の入試制度の基本原則である公正性そのものが揺らぎかねない重大事案だ。今回の税務調査は「メガスタディ」「大成学院」「時代人材」「イガン学院」「ETOOS(イートゥース)」など売上額50億ウォン(約5億5000万円)以上の大手予備校を対象に実施したものだが、これら予備校と教師のつながりが全て明らかになったとは言えない。対象の予備校をさらに広げて調査する必要もある。

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  • ▲ソウル・江南の予備校街をリードし、「ビッグ3」と呼ばれている予備校「メガスタディ」=写真左=、「時代人材」=同中央=、「大成学院」=同右=の全景。写真=オ・ジョンチャン記者、聯合ニュース

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