「チョヨトミ・ヒデヨシ」は許されて「キム・ヒョンジ」は許されないのか【朝鮮日報コラム】

大法院長を低俗な言葉で侮辱した議員、「中国侮辱処罰法」を共同発議
大統領側近の起訴状には「城南市長選で特定宗教に資金提供」

 最近の政党横断幕には「キム・ヒョンジ(大統領秘書室第1付属室長)はいったい何様なんだ」「大庄洞の控訴放棄、7400億ウォン(約780億円)が蒸発」などと書かれている。横断幕に「キム・ヒョンジ」や「大庄洞」という文言が入っていれば、根拠のない誹謗中傷だと見なされ、「制限法」によって掲示が禁じられる可能性がある。自分がすれば「表現の自由」で、他人がすれば「嫌悪・中傷表現」になるというのか。

 大統領は「政教分離」の原則に言及し「違反すれば憲法と憲政の秩序を損なう重大な事案だ」と述べた。9日には「宗教団体が政治介入や違法な資金によっておかしな行為をしている場合の解散方法」の検討を指示した。「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が与党・国民の力に政治資金を提供した」とする特別検察官チームの捜査に基づいて、旧統一教会の解散や財産帰属にまで言及したのだ。ところが、共に民主党が選任した「金建希(キム・ゴンヒ=尹前大統領夫人)特検」は、旧統一教会の元幹部が「国民の力だけでなく、共に民主党にも政治資金を提供した」と供述したにもかかわらず、共に民主党に対しては捜査を実施しなかった。具体的な名前や金額まで取りざたされているのに、「金建希夫人とは関係がないため捜査対象ではない」というのだ。これまで行ってきた数々の別件捜査はいったい何だったのか。同じカネでも、国民の力が受け取れば「政教分離」違反で、共に民主党が受け取れば問題にならないというのか。

 大統領の側近であるチョン・ジンサン元共に民主党代表室政務調整室長に対する検察の起訴状には、具体的な宗教団体名が登場する。2014年の城南市長選挙の際に「不正に支援した」という内容だ。いわゆる「大庄洞一味」は法廷で「李在明市長(当時)再選のために票を入れるという条件で、一部の資金を『特定の宗教』に渡したと聞いている」とも話した。共に民主党は大庄洞事件の捜査自体を「捏造(ねつぞう)」だと主張しているが、裁判で有罪が認められれば「政教分離」違反ということになるのではないか。

 政治の世界で「ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=自分に甘く、自分以外に厳しいこと)」は今に始まったことではなく、一口二言(二枚舌)のケースも少なくない。それでも、以前はそのような場合には何となく気まずそうな雰囲気を醸し出していた。最近ではそんな様子も見られない。妙な世の中になったものだ。

安勇炫(アン・ヨンヒョン)論説委員

【写真】道端に掲げられた政党の横断幕…真ん中にはキム・ヒョンジ室長をやゆする小規模政党の横断幕も

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