安保危機に直面する韓半島で「パレスチナの人権」に熱を上げる…これが実用外交なのか【寄稿】

国際秩序の崩壊の中で道を見失い
軽重を見極められない李在明外交

安保危機に直面する韓半島で「パレスチナの人権」に熱を上げる…これが実用外交なのか【寄稿】

 ハプニングで済んだかもしれないことが外交上の惨事となってしまった。4月10日、李在明大統領がSNSでイスラエル軍による児童への拷問が横行していると主張し、動画を投稿したことから問題が起きた。李大統領は、さらには「ホロコースト」の話まで持ち出した。今、イスラエルがパレスチナの人々に行っていることは、過去のドイツによるユダヤ人集団虐殺と何ら変わらないというのだ。

 外交について基礎的なレベルの知識と経験がある人なら誰でも、李大統領の投稿を見た瞬間、「これは大変なことになった」と思ったはずだ。特定の国が今、「ホロコースト」級の集団虐殺を犯しているという話が、一国の大統領の口から出て、全世界に広まったのだ。

 驚くべきことは、李大統領の当初の投稿が事実ではなかったという点だ。調べてみると、児童への拷問ではなく、イスラエル軍が敵対組織の戦闘員の遺体を屋根から投げ落としたものであり、それも2年前の映像だという。これは李大統領の明らかな失態だ。「ホロコースト」について他国にとやかく言うくらいなら、正確な事実関係に基づいて主張を展開すべきだった。

 イスラエル政府としては激怒せざるを得ず、李大統領の主張を反論する糾弾声明がイスラエル外務省から出された。実のところ、ここで終わらせるべきだった。李大統領と他国の外務省は「格」が合わない。言い争うこと自体が威信を傷つけることだ。だからそこで対応を中断し、外交ルートを通じて遺憾の意を表明して収めればよかったのだ。

 ところが、李大統領は止まらなかった。論戦を続けた。普遍的な問題提起なら普遍的な次元で行えばいいのに、なぜ突然具体的な動画を公開し、特定の国名を挙げ、さらには「ホロコースト」の話まで持ち出すのか? 大統領府の釈明によれば、大統領は単に普遍的な次元で人権問題を提起しただけであり、これをイスラエルが誤解したということだが、それでは3月27日の国連人権理事会(UNHRC)において、イスラエルの人権侵害問題を提起する決議案に対し、韓国はなぜ棄権したのか? 国際機関では堂々と普遍的な人権問題を提起できず、自室でSNSを通じてばかり騒ぎ立てるのが大韓民国の外交なのか?

 李大統領の軽率な行動を見て、実に胸が詰まる思いを抑えられない。今、韓国の大統領がSNSで他国の外務省と口論している場合なのか? 我々の国益にとって何が重要なのか、軽重の判断がつかないのか?

 現在、韓半島は北朝鮮がもたらす深刻な安全保障上の脅威にさらされている。すでに北朝鮮は数十発の核弾頭はもちろん、米国本土に到達可能な運搬手段まで確保したとみられる。さらに北朝鮮は、従来の中国との軍事同盟に加え、今やロシアとの血盟関係まで築き、強固な後ろ盾を確保した。一方、米国の韓半島における戦争抑止力は徐々に弱まっている。米国の軍事力が強いのは事実だが、イランとの戦争において、米国はごく少数の死傷者が出ただけでも国内で批判の声が殺到するなど、政治的な脆弱性を露呈した。数十人の死傷者だけで長期戦遂行能力に打撃を受ける米国が、数十万人の犠牲が予想される北朝鮮による米国本土への直接攻撃の可能性にもかかわらず、果たして大韓民国を助けてくれるだろうか。すでに米国内でさえ多くの専門家が、北朝鮮が韓国を核で攻撃しても、米国は核兵器で北朝鮮に報復することは難しいと見ている。米国の韓半島に対する核抑止力が揺らいでいるのだ。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 安保危機に直面する韓半島で「パレスチナの人権」に熱を上げる…これが実用外交なのか【寄稿】

right

あわせて読みたい