▲イ・チャンミン韓国外大教授が2022年6月に出版した著書『今、再び、日本精読』

「光復77周年」インタビュー…イ・チャンミン韓国外大教授

 韓国と日本の経済逆転のニュースが相次いでいる。韓国の国民1人当たりの国民所得は間もなく日本を超越し、昨年の平均賃金と購買力を基準とした1人当たりの国民所得では既に韓国が日本を上回っていたという報道が最近立て続けに行われた。

 サムスン電子(世界25位、2991億ドル=現在のレートで約39兆8200億円。以下同じ)は時価総額で日本最大のトヨタ自動車(世界39位、2110億ドル=約28兆1000億円)をとっくに追い抜いている。野口悠紀雄・一橋大学名誉教授は「G7(先進7カ国)から日本が脱落し、韓国が加えられるだろう」と主張した。

 解放から77年を経て、韓国人は「経済克日」に成功したのだろうか? もしそうなら、韓国はもはや日本に学ぶところはないのか? 「先進国になった韓国」にとって、日本は今やどのような存在なのだろうか?

 こうした疑問を抱いて、記者は韓国国内の40代の新鋭日本研究者と会った。2004年に渡日して東京大学で経済学の博士号を取り、東京工業大学で助教として3年勤務した後、2014年に韓国へ戻ったイ・チャンミン韓国外国語大学国際地域大学院教授(44)だ。今年6月に『今、再び、日本精読』という著書を出版したイ教授を、7月28日にソウルの光化門でインタビューした。

■「韓国がうまくやったというより、日本があまりにもしくじった」

-韓日経済力逆転の報道がこのごろ多い

「良い雰囲気に冷水を浴びせたくはないが、過剰な解釈は警戒した方が、と思う。客観的データで見ると、韓日逆転は韓国の順位上昇より、日本の順位下落の影響の方が大きい。1995年から昨年までの25年間、韓国の国民1人当たりの名目GDP(国内総生産)は34位から30位、日本は3位から28位になった。スイスのIMD国家経済力ランキングでも、同じ期間に韓国は26位から23位、日本は4位から31位になった。韓国がうまくやったというより、日本があまりにもしくじったということだ」

-一部の韓国の中高年層は「韓国の躍進」に感慨無量だ。

「韓国人が一層目をこらして見るべきは日本の変化だ。韓国はいつも日本をライバルと考えてきたが、一部の産業・業種やスポーツを除くと、日本は韓国をライバルと見なしていなかった。ところが最近、雰囲気が急変した」

 イ教授はこう語った。

「日本国内のこうした反応は、大部分は翼を失った日本経済の墜落を強調するためのものであって、韓国の経済成長に注目するものではない。『このままでは本当に韓国にすら追い抜かれる』という危機感の表れだ。韓国人は『韓国の成長』に力点を置くが、日本は『没落』の相手として韓国に言及する程度だ」

■「隣の下りエレベーターを見て喜んでる格好」

-日本に留学しに行った時と比較するとどうか?

「最初に日本の地を踏んだ2004年当時、日本のGDPは韓国より6倍も大きかった。その年の日本の国民1人当たりGDPは世界15位、韓国は40位だった。昨年、日本のGDPは韓国の2.75倍だが、人口は2.43倍の差がある。その結果、国民1人当たりのGDPはほとんど同じになった。少なくとも、韓国を一手劣った国と考える日本人はもういない」

-もしや、韓国人が誤読したり錯覚したりしている部分があるのではないだろうか?

「韓国が国民1人当たりのGDPでスペインを抑え、1人当たりの国民所得(GNI)がG7の一員であるイタリアを超越したことはニュースにならないのに、唯一日本を上回ると大書特筆する。こういう姿は、ゆっくり上昇するエレベーター(韓国)に乗り込み、隣のエレベーター(日本)が降りていくのを見て『逆転した』と喜んでいるのと同じ。ここで『台湾の今年の1人当たりGDPは19年ぶりに韓国を再び上回るだろう』という発表は多くのことを考えさせる」

 イ教授の話は続く。

「いま、韓国人が投げかけるべき問いは『われわれは日本に勝ったのか?』ではなく、『われわれは日本と違うのだろうか?』だ。1980年代中盤から10年にわたる全盛期の間、日本国民は自信と自負に満ちていたが、自分たちが最も得意とする能力、すなわち『追い付き追い越せ』、すなわち『(西洋から)学んで(西欧を)追い抜く』能力を忘れていった。日本人は『世界の人がわれわれをうらやみ、学びたがっているのだから、ことさら他国を分析して学ぶ必要はない』と考えた」

宋義達(ソン・ウィダル)エディター

ホーム TOP