▲イ・チャンミン韓国外大教授

「傲慢(ごうまん)さが根を張った瞬間、日本のように墜落」

 イ教授は「そうした側面で、このごろの何事にもKを付けて呼ぶ雰囲気は少し危うい。自負を超えて、われわれが世界最高だという傲慢(ごうまん)さが根を張った瞬間、韓国も日本と同じ道を進むことになりかねない」と語った。

-日本経済はなぜ活力を失ったのか? 2000年代の2度の長期好況時も、実質経済成長率は共に1%台だった。

「日本は今、各企業の国内設備投資が伸びず、賃金上昇がなく、消費も増えないという3無景気、すなわち『低温経済』が固着している。これは1990年代のバブル崩壊で資産価値が暴落したことから、各企業が負債の縮小に没頭して新規投資のチャンスを逃したことが大きな原因だ。その結果、世界的なITブームに日本だけが乗り遅れ、企業の海外移転で状況がさらに悪くなった」

-日本の衰退からどのような教訓を得ることができるか?

「日本企業は1970年代前半から進行した円高へそれなりに対応し、鍛えられてきた。しかし1985年のプラザ合意後、円高不況を懸念した政府の過剰対応でバブルがはじけた。企業は弱くなかったが、政府が判断を誤った。韓国企業はアジア通貨危機を契機として政府の保護・依存から抜け出し、構造調整とグローバル化に躍進した。円安に伴う為替差益効果で営業利益と株価上昇を味わいつつ安住している日本企業とは違う。世界情勢の判断力とマクロ経済政策、イノベーションの重要性を悟った」

-日本はまだ「印鑑・ファクス・紙の国」だ。「デジタル後進国」日本に未来はあるだろうか?

「銀行・医療など生活において日本のデジタル化は遅れている。世界の主要24カ国の中で、日本のデジタル社会指標は22位、デジタル需要充足度は24位だ。しかし製造業やサービス業の現場で、韓日間のデジタル格差はほとんどない。海外に生産施設を多数持ち、全体の4分の1程度が借り入れなしの経営をしている日本企業が、多額の費用を投じてデジタル化に乗り出すかどうか注目される」

■「少子化と低い労働生産性、日本そっくり」

-韓国は日本を憎みながらも、似た国になりつつある。

「そうだ。貿易構造、産業構造、人口構造において両国はそっくりだ。両国の10大貿易相手国のうち七つは重なっている。両国の通貨の国際的な立場が違うことを除くと、韓国は10-20年差で日本を追う形になっている。高齢化と少子化がそうだ。高齢化のスピードは韓国(4.2%)の方が日本(2.1%)より2倍も早く、昨年の合計特殊出生率は韓国(0.8)の方が日本(1.30)より低かった。韓国は、『エンゼルプラン』『新エンゼルプラン』などに巨額の資金を費やしても少子化の解決に失敗した日本の後を追っている」

-韓国が避けるべき、日本経済の最大の問題点は何か?

「低い労働生産性だ。日本生産性本部(JPC)の報告書によると、2019年の日本における就業者1人当たりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国中26位で、先進7カ国(G7)の中では最低だ。これは、65歳以上の高齢者が日本の総人口の29%を占めているせいでもあるが、より大きな理由は、サービス産業の低い労働生産性故だ。労働者は一生懸命働いているのに、サービス産業が低付加価値メインになっているからだ。これを解決しようと思ったら、産業構造を高度化するしかない」

-産業構造を高度化する方法とは?

「米国の変身が重要なヒントを示している。米国は1980年代、『双子の赤字』と製造業の競争力低下で大きな危機に直面した。しかし90年代のIT投資ブームにうまく乗り、新経済(new economy)と呼ばれる長期好況を享受して今も革新を先導している。米国5大IT企業(GAMMA。グーグル、アップル、メタ、マイクロソフト、アマゾン)の時価総額は、日本の東京証券取引所に上場された全ての企業の時価総額合計よりも大きい。韓国も、こうした『デジタル資本主義』がけん引する高級サービス産業にまい進すべきだ。製造業大国モデルにばかりこだわっては『第2の日本』になる」

宋義達(ソン・ウィダル)エディター

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