【コラム】終わらない「呪いの韓国政治」

【コラム】終わらない「呪いの韓国政治」

 10年前の大統領選でセヌリ党は「失われた10年」という言葉をよく口にした。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に不合格の烙印(らくいん)を押すものだった。何が間違っていたのかをいちいち説明するよりもその一言が政権を吹っ飛ばすのにははるかに効果的だった。10年が過ぎた今、当時「失われた10年」による被害者は李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンヘ)の両氏の名前を合成した造語「イ・ミョンバク・クンヘ」をつくり出し、加害者として戻ってきた。さらには、政治報復のにおいがプンプンする「積弊清算委員会」なるものを設置すると言っている。加害者と被害者が無限に複製される「呪いの政治」は今回も終わりそうにない。

 大統領選の6回に及ぶテレビ討論は2日で全て終了した。最初の討論会で共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補が「イ・ミョンバク・クンヘ」という言葉を使った際には、それもそうだなと思った。しかし、討論会が回を重ねるにつれ、この言葉を使う回数が増え、対象も広がった。南北関係や経済はもちろん、雇用問題についても「イ・ミョンバク・クンヘ政権に責任があるのではないか」と主張した。雇用不足は突然街頭で起きた「刑事事件」のようなものだろうか。いや、数十年の経済成長の裏で蓄積された結果ではなかったか。さらには、粒子状物質の問題も「イ・ミョンバク・クンヘ」の責任にされた。誰の責任でもないというのは無責任だという論法だ。しかし、誰かに責任をなすり付けることほど消耗的ではない。

辛貞録(シン・ジョンロク)論説委員
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