第五に委員会は両国の経済関係を韓米同盟だけにとどまらず、より幅広い経済ガバナンスの分野にまで拡大すべきであると信じる。デジタル貿易、気候変動、人工知能、グローバル医療分野、第4次産業革命などの分野で韓米両国は重要な基準とルールを制定する主体になることができる。
第五に委員会は日本と韓国の双方に対して両国関係の改善を求める。韓国にとって日本との関係悪化は国内の政治的必要性にプラスになるかもしれないが、長期的にみれば韓国の戦略的な利益を害するだろう。日本は5G、サプライチェーン、ブルー・ドット・ネットワークを含むほぼあらゆる多国間構想で中心的な役割を果たす国だ。韓国は複数の多国間構想で少しずつ疎外されつつある。これは将来、韓国が徐々に、中国の気まぐれな影響力の下に一層置かれるようになることを意味する。
最後に北朝鮮に対して委員らはトランプ政権の4年間、過去のいかなる時よりも激しく拡大した北朝鮮の核と弾道ミサイルの問題に対してやるべきことがはっきりしたと信じている。いかなる政策を選択した場合でも、北朝鮮の非核化という目標に引き続き集中しなければならない。同盟国とも緊密に協力しなければならず、軍事訓練などの同盟資産を北朝鮮との交渉カードとして使ってはならない。その第1段階として核の「凍結」を引き出すことをためらってはならない。ここからさらに北朝鮮による核物質の生産や武器の実験、それらが拡散する脅威を小さくすることにも焦点を合わせねばならない。北朝鮮に対する制裁を緩和できるとすれば、それは実質的な非核化への見返りとなる時だけだ。首脳会談は北朝鮮が武装解除という本当の決断をした時のために取っておくべきだ。
委員長はこれらの政策勧告についてはどれも簡単ではないと考えている。それでも先週行われた米国の国務長官と国防長官による「2プラス2」訪問は、バイデン政権のスタートが順調に進んでいることを示した。韓米同盟は険しかった時期が過ぎ去り、政策の専門家たちが協力して戦略的課題や両国が共に解決すべき政策のロードマップを提示できる新たな時期を迎えつつある。
ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長