一触即発続く南シナ海、中国海警船とフィリピンの貨物船が衝突

建築資材を運搬していたフィリピン船の航行を中国海警が妨害
直接の衝突は初めて、フィリピンは強く反発

一触即発続く南シナ海、中国海警船とフィリピンの貨物船が衝突

 南シナ海で海洋境界の争いを続ける中国とフィリピンの対立が徐々に激しさを増している。中国海警は22日(現地時間)、メッセンジャーアプリのウィーチャットの公式アカウントを通じ「スプラトリー諸島(中国名、南沙諸島)のセカンド・トーマス礁(中国名、仁愛礁)に建築資材を運搬しようとしたフィリピン船籍の貨物船の運航を阻止した」と明らかにした。

【動画】米軍機に接近する中国軍戦闘機(3月24日撮影)

 フィリピン側も同日、「駐屯地から移動し補給業務を行おうとしたフィリピンの貨物船が中国海警船と衝突した」と明らかにした上で「挑発的で無責任かつ不法な行為であり、乗組員が危険な状況になった」として中国を非難した。ここ最近南シナ海で双方が対峙(たいじ)する状況が相次いでいるが、船舶が物理的に接触するのは異例だ。

 セカンド・トーマス礁はフィリピン本土から約160キロ離れている。フィリピンは1999年、第2次世界大戦当時米軍が戦車を上陸させるため使用した戦車揚陸艦シエラマドレをセカンド・トーマス礁に停泊させ、海兵隊員を常駐させてきた。これについて中国は「フィリピンは不法に岩礁を占拠した」と主張している。

 中国は南シナ海で複数の国と領有権を巡って対立を続けているが、中でもフィリピンとの対立は特に際だっている。フィリピンはこの海域を「西フィリピン海」と呼び「自国の領海」と強調している。

 とりわけ米国との軍事同盟を重視するマルコス・ジュニア大統領は昨年の就任以来、中国との海洋境界の争いで前例のない強硬な立場を示してきた。

 昨年9月には中国がスカボロー礁(中国名:黄岩島)周辺海域に浮き球を連ねた障害物を設置し、フィリピン漁船の航行を妨害した。フィリピン沿岸警備隊は「中国が設置した障害物はフィリピンの漁師たちの権利を侵害している」と反発し、潜水夫を派遣して障害物を全て撤去した。同日フィリピン政府は「わが国の排他的経済水域内にあるイロクォイ岩礁に33隻の中国船が停泊し、サンゴ礁のサンゴを無断で採取した」「中国による環境破壊行為に対して国際常設仲裁裁判所への提訴を含む対策を検討する」と発表したが、これに中国は反発している。

 8月にも中国の沿岸警備隊がフィリピンの補給船に向け放水した。これに対してフィリピンは直ちに声明を出し「わが国船舶に対して中国は過度に攻撃的な行為を取った」としてフィリピン駐在の中国大使を呼んで抗議した。

 フィリピンによる一連の強硬な対応は、親中だった前任のドゥテルテ大統領の任期中には見られなかった。英BBC放送は「中国はマルコス・ジュニア大統領就任後から一層攻撃的になった」「資源が豊富で戦略的要衝でもある海域を巡り、マルコス・ジュニア大統領が米国と緊密な関係を模索しているからだ」との見方を示した。

 フィリピンによる中国への強硬な対応は西側諸国との緊密な軍事協力にもつながっている。フィリピンと米国は今月2日から13日までルソン島南東海域で定例の合同軍事訓練を行い、これに日本、オーストラリア、カナダ、英国、フランス、ニュージーランド、インドネシアの7カ国から2000人以上の兵力が参加した。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が伝えた。

チョ・ソンホ記者

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