韓国監査院「文政権時代の国防研究院、共に民主・李在明候補の大統領選公約づくりを違法支援」

 韓国国防部(省に相当)の傘下にあるシンクタンク「韓国国防研究院(国防研)」が2021年、当時の李在明(イ・ジェミョン)共に民主党大統領候補の公約づくりを違法支援していたことが分かった。監査院が31日に明らかにした。監査院は、国防研が李候補を支援する過程で国防関連の秘密資料を無断で活用し、流出させた可能性があるとみて、捜査のための参考資料を検察へ送った。

 監査院によると、国防研の金潤泰(キム・ユンテ)院長は21年3月、世宗研究所副所長のキム氏から「李候補のため国防政策公約を開発してほしい」という要請を受けた。民主党の大統領候補予備選を控えた時期だった。キム氏は国防部企画調整室長を経て、21年10月に李在明候補が民主党の大統領候補に選出されると、李候補の選挙陣営の国防政策委員会副委員長に任命された。

 金院長は責任研究委員のA氏を院長室へ呼んでキム氏に紹介し「キム氏が李候補の大統領選挙を支援しているので、うまく助けてやれ」と言った。キム氏が持ってきた李候補の募兵制公約の文書をA氏に見せてやり、検討してみろという指示も行った。他の幹部らも公約開発に動員された。院長および幹部らは、A氏が募兵制公約の草案を分析して作った文書を共有し、キム氏に対し公約に関する助言を行った。

 その後、公約開発はモバイルメッセンジャー「テレグラム」の「北漢山登山会」というチャットルームで行われた。李候補の選挙陣営関係者と国防研究院関係者からなるチャットルームだった。金院長は、公約開発のためのテレビ会議を主管し、中央選挙委員会に提出すべき文書の様式に合わせて公約をつくってやるということも行った。

 21年8月、米軍の戦術核兵器を韓半島に再配備すべきかどうかを巡って与野党の大統領予備選候補らの間で論争が起きると、A研究委員は質疑応答予想の文書を作ってやった。21年11月に、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)国民の力大統領候補が「THAAD(高高度防衛ミサイル)を追加配備すべき」という趣旨の主張を行うと、これに反論する論理を盛り込んだ文書を作ってやった。他の職員らも、李候補の「スマート強軍」推進公約、防衛環境改善公約などを発展させる役割を担った。

 監査院は、国防研職員の行為が選挙法違反に該当すると判断したが、公訴時効が過ぎており、容疑を適用することはできなかった。ただし監査院では、請託禁止法違反には該当するとみて、捜査参考資料を検察に送った。また国防部などに、国防研の金院長を解任し、他の職員は懲戒すべきと通知した。さらに監査院は、院長・職員らが軍事機密資料を無断で活用し、流出させた可能性もあるとみて、関連の参考資料も検察へ送ったことを明らかにした。

 金潤泰院長は、本紙の電話取材に応じて「国防研究院は秘密を流出させたことは全くない」と主張した。監査結果については「一線を越えた研究員が一部にいたが、大部分はそうではなかった」とし「それなのに、全員が政治的中立義務に違反したかのように結論を出したのはかなり不適切」「監査院に再審要請を行い、法的にも争う」と述べた。

キム・ギョンピル記者

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