【コラム】「韓国大統領」は世界で最も危険なポストだ

 忠誠集団は、大統領にとってもろ刃の剣のようなものだ。いい加減なまずい政治をしても、容易には支持をやめない。コンクリート支持層だ。大統領がよろめいても、そのまま倒れず再び立ち上がることができるよう、復帰の時間を稼いでくれる。これは、忠誠集団が「薬」になるパターンだ。

 逆に、「毒」になることもあり得る。忠誠集団は、大統領の国政運営が誤っていたとき、異議を提起する者に「背信」と「反逆」のレッテルを貼って封じ込める。危険を知らせる警告灯を消してしまう行動だ。大統領が忠誠集団に頼る度合いが大きければ大きいほど、一般国民との隔たりは大きくなっていく。そして突如として、沈没の瞬間を迎える。保守政党が翼をなくして墜落する状況の中、再建のきっかけをつかみたいのなら、これは留意すべき点だ。

 何人もの大統領が、反対集団を管理することに失敗したからではなく、忠誠集団の毒性を軽視したが故に、思いがけない終末を迎えた。弾劾から選挙の局面へと舞台が変わっても途切れることのない「反逆勢力の処断」「なになに勢力の大掃除」という声を、軽く聞き流し難い理由でもある。

 5月9日に韓国大統領選挙があり、次の日に新大統領が就任する。弾丸列車のような高速の政治日程だ。世界で最も危険なポストを、このように選んでもいいのかと心配になる。新大統領に、「お祝いする」という言葉を気軽には掛けられないだろう。大統領を支配する運命の法則がどれほど過酷であるかを知っている人間なら、その家族に対して何と言うべきか、何度もためらうはずだ。

姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問
前のページ 1 | 2 | 3 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】「韓国大統領」は世界で最も危険なポストだ

right

あわせて読みたい