「イチゴで日本に勝つ」 新品種開発10年で日本離れ

カン・ホドンさん、カン・ホセンさん、キム・テイルさん
今年から東南アジア輸出も本格化
政府の冷遇に胸痛める…「関心・支援を」

「イチゴで日本に勝つ」 新品種開発10年で日本離れ

 韓国人が食べる韓国産の果物で一番人気があるのは何だろうか。売上高を基準にするなら、正解はイチゴだ。リンゴ・ミカン・スイカなどを思い浮かべる人も多いが、実はそうではない。 2012年のイチゴの売上高は1兆1888億ウォン(約1120億円)。2位以下はスイカ・リンゴ・トマト・ミカンと続く。イチゴは消費額で見れば卵や唐辛子に匹敵する重要な食品だ。

 イチゴは少し前まで、日本の品種ばかりだった。知的財産権に基づき品種開発者に栽培料を支払わなければならなくなるピンチにも直面した。しかし、数多くの試行錯誤を経て品種開発や試験栽培、そして市場開拓に成功し、日本の品種は実質的に消えた。果物・野菜類のうち、イチゴは種子自給率1位だ。品種交代が進んだだけではない。味・形・大きさなど品質も優れており、今年からは海外販売にも本格的に乗り出す。

 こうした一連の作業を率いた「イチゴ三銃士」が代表品種「雪香(ソルヒャン)」普及10周年を迎えるに当たり、一堂に会した。忠清南道農業技術院の論山イチゴ試験場に勤めるキム・テイル試験場長(55)、慶尚南道陜川栗谷農協のカン・ホセン作目会長(61)、韓国イチゴ生産者代表組織のカン・ホドン会長(56)。それぞれ開発・栽培・販売部門の代表格で、カン・ホドンさんとカン・ホセンさんは遠い親戚だ。

 キム・テイルさんは「10年前まではレッドパールや章姫といった日本の品種が99%でした。今は雪香・苺香(メヒャン)などの韓国産が80%です。日本産は今、韓国産の出荷時期(11月-4月)以外にかろうじて『時差戦略』として出ているくらい」と話した。雪香と苺香はキム・テイルさんの論山試験場で作られた品種だ。

 「より良い品種を選ぼうと、1日に1000個ずつ味見しました。日本に見学に行って温室の外に追い出されたこともあります。イチゴ一つには種が約200個ありますが、植えると全部違うイチゴができる。その長所を合わせて凝縮させるのに数年ずつかかります。最初は3年の予定で試験場に入ったが、イチゴのとりこになって気が付いたら20年たっていました」(キム・テイルさん)。雪香は甘く柔らかく、栽培もしやすくて国内での消費に最適だ。苺香は栽培は難しいが、しっかりしていて輸出に向いている。栽培量は圧倒的に雪香の方が多い。

 慶尚南道の陜川は韓国最大のイチゴ産地で、イチゴ農家は270軒を上回る。地元の作目会は15年前、全国初の共同生産・選別・出荷により、質が落ちる生産品を気付きにくいところに入れ込むようなごまかし行為をなくし、長期保存が可能なジュース・牛乳用「アイスイチゴ」を開発するなど、イチゴに関する「第1号」記録を数多く持っている。同作目会のブランド「一目ぼれイチゴ」は人気商品だ。カン・ホセンさんは「昨年、香港・シンガポール・台湾・ロシアに試験輸出したところ反応が良く、今年から本腰を入れることにした」と話した。

 生産者代表組織会長のカン・ホドンさんは、新品種普及から販路開拓までを取り仕切る「イチゴ司令官」だ。「私たちのイチゴが普及して10年で売上高1位、種子国産化率1位作物になったのでやりがいを感じる」と言いながらも「永遠の強者はいない。雪香をしのぐ外国品種がいつ現れるとも限らないので、努力し続けるしかない」と話した。カン・ホドンさんは、雪香の場合は保存性が改善されれば世界最強品種になるとみている。「韓国政府はイチゴに関してはあまり関心を払ってくれず残念だ。始まったばかりの海外市場開拓のために、輸出物流支援金を拡大したり、対外PRを支援したりしてほしい」と語った。

陜川(慶尚南道)=イ・チュンイル記者
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