【社説】大学構内に政権批判の壁新聞掲示して「無断侵入」になる喜劇

 現政権を批判する壁新聞を大学構内に掲示したとして、右派青年団体の20代の会員が建造物侵入罪で起訴され裁判を受けることになった。この男性が壇国大学天安キャンパスに壁新聞を掲示したのは昨年11月だった。中国の習近平・国家主席の顔が印刷された問題の壁新聞には「私(習近平)の忠犬・ムン・ジェアン(ジェアン=災難の意、文大統領の名前をもじったもの)は高位公職者犯罪捜査処(公捜処)や連動型比例代表制を通過させ、総選挙で勝利した後に米軍を撤退させ、完ぺきな中国の植民地になるように準備を終えるだろう」と書かれていた。大学などでよくみる一種のパロディ壁新聞だ。このように壁新聞の内容自体は法的に問題がなかったため、警察と検察は「この男性は大学に無断で侵入した」として建造物侵入罪を適用した。どう考えてもあり得ないことだ。

 建造物侵入罪は「建物の管理者の意志に反して侵入した時に成立する」というのが大法院(最高裁に相当)の判例だ。ところが通常、大学には周辺の地域住民、営業社員、配達員など様々な立場の人が特に許可を受けることなく出入りすることができる。壇国大学天安キャンパスも構内に立ち入る際には特に制約はない。大学側も「校門は開放している」と説明した。しかもこの男性は大学構内の5カ所に壁新聞を貼っただけで、何か違法行為をしたわけでもなかった。大学側も「無断侵入された事実はない」「被害も発生していない」と説明している。警察に通報し、この男性の処罰を求めているわけでもないという。

 それでも警察と検察は監視カメラ映像まで使って捜査を進め、判例はもちろん一般常識にも反する形で無理に法律を適用し、将来のある若い20代の若者を法を犯した人間に仕立て上げようとしている。捜査権をめぐって対立する検察と警察が政権の顔色をうかがい、勝手にこびへつらっているのだ。世の中全体が少しずつコメディのように変わりつつある。

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