東大出身の文学青年はなぜナチスを擁護したのか

東大出身の文学青年はなぜナチスを擁護したのか

【新刊】高田里恵子著『文学部をめぐる病い』(キム・ギョンウォン訳、イマ社)

 「この先、ヒトラー総統がいかなる奇抜な政策で『我が闘争』たる東方政策を実現していくのか、限りない興奮を呼び起こす」。20世紀の前半、日本ではヘルマン・ヘッセに熱狂していた文学青年たちがヒトラーを擁護するという怪現象が起きていた。当のヘッセはナチスに反対し、スイスに亡命したというのに。高田里恵子・桃山学院大学教授(59)は、ドイツ文学に熱狂していた東京帝国大学文学部出身の青年たちが、日本の戦時体制やナチスの擁護者に変化した脈絡を追跡した。著者は「俗世の欲望を捨て去った生き方を見せてやろうという虚栄心」で文学を選んだ人々が、出世欲と名誉欲で結局はナチス文学を翻訳、称賛されるに至ったと考えた。エリートだったが法学部には進学できなかったことで二流と自嘲していた人々、世俗的ではないようにしていたが、現実的な欲望を完全には捨て切れなかった青年たちの屈折した姿。日本の文学青年の失敗は、彼らの国、彼らの世代だけの話とは限らないのではなかろうか。348ページ、1万7000ウォン(約1780円)。

ヤン・ジホ記者
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