半導体不足一服もつかの間…労組の反対で労働時間を増やせない現代自

半導体不足一服もつかの間…労組の反対で労働時間を増やせない現代自

 半導体の需給ひっ迫がやや解消し、生産台数の回復をもくろんでいた現代自動車に、再び赤信号がともった。現代自は当初、雇用労働部(省に相当)に特別延長労働の認可を申請し、生産台数を最大限まで増やす計画だったが、現場の労働者の同意を得られず、申請を二度も撤回した。今回、労働組合の幹部に強硬派が当選したことで、勤務時間延長が実現する可能性はいっそう低くなった上、韓国(ハンコック)タイヤのストライキの影響で、蔚山第3工場では今週末の特別勤務が不可能になった。

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 業界関係者は8日、現代自が先月2日と19日の二度にわたり雇用労働部蔚山支庁に特別延長労働を申請したものの、これを撤回したと明らかにした。同庁の関係者は「特別延長労働を申請する際には現場の労働者2万8000人の同意書が必要だが、現代自は2回とも書類の提出期限内に同意を得られなかった」として「再申請する計画は今のところないと聞いている」と話した。

 現代自は、ジェネシスのSUV(スポーツタイプ多目的車)GV80、GV70を生産する第2工場の労組に対し、特別延長労働を要請したという。もし雇用労働部から特別延長労働の認可が下りれば、それから具体的な勤務時間と曜日などを会社側と労組が協議することになる。しかし労組の同意が得られず、勤務時間を週52時間以上に増やす道は閉ざされた。労組の関係者は「現場の労働者は特別延長労働を実施することに否定的なムード」だと話した。

 業界では、特別延長労働の認可が下りた後に労組が会社側との交渉で優位に立てるよう、労組がいわゆる「時間稼ぎ」をしているのではないかとの解釈も出ている。例えば、延長労働を深夜に始めれば、追加手当が支給されるからだ。特別延長労働を申請していた11月には労組は次期執行部の選挙を控えていたため、新執行部が発足した後に特別延長労働の再申請をするとの話も出ている。

 今月7日に行われた労組委員長選挙では、強硬派とされるアン・ヒョンホ候補が当選した。アン氏は金属連帯所属で過去には首席副委員長を務め、1998年には現代自の整理解雇反対闘争を指揮した。仮に現代自が特別延長労働の認可を受けたとしても、詳細を詰める際に労使間で意見の衝突が起きるのではないかとの見方もある。現代自は当面の間、週52時間を超えない範囲で土曜日の特別勤務を調整し、生産台数を増やす計画だ。

 しかし、特別勤務の調整も容易ではない状況だ。韓国タイヤのストの影響で、タイヤの供給にも支障が出ているからだ。早くもアバンテを生産する蔚山第3工場では今週末の特別勤務が不可能になった。韓国タイヤはアバンテのほかベニュー、サンタフェ、コナ、キャスパーなどにも使われており、起亜でもレイ、スポーテージなどに採用されているため、ストが長引けば蔚山第3工場以外の工場でも生産が滞りかねない。

 韓国タイヤの労組のストは先月24に始まった。同社の大田・錦山工場は無期限で稼働を停止している。

ピョン・ジヒ記者
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